つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語 2013

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つやのよる

つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語 2013

監督: 行定勲
原作: 井上荒野
出演: 阿部寛, 小泉今日子, 野波麻帆, 風吹ジュン, 真木よう子

松生春二を演じる阿部寛が頑張って自電車で坂を登るシーンが印象的である。
通夜の夜かとおもっていたら、艶(つや)なんだ。それでも最後は通夜になるのだが。そこは言葉をかけているのだろう。

家族を捨て、艶と駆け落ちした男は、艶がガンに侵されこん睡状態に陥った時に艶と深い仲だった男性たちに、艶が瀕死の状態にあることを知らせようと思い立つ。

艶は昏睡状態にあり映画でも顔はしっかりと出てこない。それにしても艶はどんな女性だったのかと思う。それにしてもどれだけの男を狂わして来たのか。
それでも数えてみると大したことがないか。現代ならもっと男性経験がある女性がたくさんいそうだ。
艶と関係した男たちの女性が面白い。彼女らこそ逞しい女性である。艶というのは、すべての女性の塊みたいなものかもしれない。
女優陣がすごいので面白い。特に小泉今日子と荻野目慶子の取っ組み合いは痛快である。野波麻帆の悪女ぷりもいい。それでもあとはそれほど魅力がない。
他の女性ももっと弾けて生き生きしてほしいのだが、真木よう子演じる池田百々子も普通だし、風吹ジュン演じる橋川サキ子も普通。大竹しのぶが演じる山田早千子も普通。
もっと力強い女性であってほしいのだが。どうして山田早千子は、艶の胸を見るだけで、元夫の松生と対決しないのだろうか。
逆に艶の愛人だった石田行彦や元夫の太田、変なメールをずっと送っていた橋川などは、全て個性的で逞しい性欲の持ち主だと思う。大島のスナック経営の浅原優も逞しいね。

最後に艶の胸にあった歯型はだれがつけたんだろうか。松生がつけたのだろうか、そうだろう。
松生の元妻が胸を確認したのはそういうことだったのだろう、彼の性癖なのだろう。松生春二もなるほど変わった性癖があるんだと思うし、ここまで艶が好きなのが可愛いくらいだ。
そして艶が死んだ後に、通夜に来たのは、看護師とその子供だけだった。最後まで愛したのは、松生春二だけということなのか。男と女なの間がこれだけ性によって支配されているような描き方はここまでくれば痛快でもある。

話の展開は面白い。飽きさせない。ただ、それぞれの話がオムニバス的なので最後の盛り上がりが少ない。映画的には松生と看護師との話がどうなっているのかがわからないのも残念。



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