忍ぶ川 1972

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忍ぶ川 忍ぶ川 1972

監督: 熊井啓
原作: 三浦哲郎
出演: 栗原小巻, 加藤剛, 滝花久子, 井川比佐志

監督の熊井は構想段階では吉永小百合を主演に予定していたが、劇中のシーンの問題などから吉永の親族と軋轢を起こし、結局栗原小巻が演じることになった。
キネマ旬報ベスト・テンでベストになっている。
忍ぶ川は、東京下町の料亭の名だった。ここで働く志乃が哲郎と出会う。

哲朗は原作者の自伝的な小説でもある。両親は青森県八戸市三日町の呉服店を営んでいたが、遺伝的に先天性色素欠乏症があり長姉、二姉が自殺、三姉は先天性色素欠乏症で弱視。長兄と次兄ともに事業に失敗し失踪。
このような状況で自分に対して劣等感があった。
志乃は、もともと深川の洲崎の出身。そこは吉原と並ぶ遊郭があり、その隣で射的屋を両親がしていた。疎開して栃木に住んでいたが母が死に、父が病気で東京の料亭に働きに来ていた。
二人とも境遇に恵まれず、それでも愛を貫き、結婚する。そして志乃と二人で青森の実家で結婚して初夜を迎えるのである。
ストーリー的にはここで終わってしまうので、あれっと思うか、これで良かったと思うかなのだが。なんだか映像の美しさの感動だけがあるのである。ストーリーは、戦後の貧しい境遇の中でこれから生きていく二人を祝福するような話なんだろうか。やっぱり何かもう少し深さがないと感動しないだろう。

なんにしても栗原小巻が美しい。こんな美人がいるんだと思ったことがあったのを思い出す。あの頃は、サユリスト、コマキストがあったが僕はコマキストだったのだろう。特に木下恵介アワーの3人家族と二人の世界が本当に良かった。

さて栗原小巻と加藤剛のラブシーンであるが、古さを感じさせる。どうして抱き合うシーンはあんなイメージシーンになってしまうのか。どうして昔の日本映画はラブシーンをこうしたものにするのだろうか。しかし栗原小巻のヌードは美しすぎるくらいだ。それよりも外の馬橇を見るために二人が戸をあけて毛布に包まれて立っているシーンは非常に美しくそこで抱き合うのも自然である。このシーンだけで良かったかも。



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