ヒミズ 2012

  • 投稿日:
  • 更新日:
  • by
  • カテゴリ:

ヒミズヒミズ 2012

監督: 園子温
原作: 古谷実
出演: 染谷将太, 二階堂ふみ

この映画はやっぱり迫力がある。園子温監督らしい作品だが、震災の後の廃墟となった港町が痛々しいんだが、撮影中の被災をきっかけにいくつかの被災地の映像を入れているらしい。それが必要だったのかについては異論があるだろう。特にそれによってストーリーも少し変えているが、ヒミズのテーマと震災とは何も関係がない。ここは話題性ということで監督が入れたのだろうが、全くの間違いだろう。

原作を読んでいないのでヒミズはこの映画のストーリで考えれば、
住田のユニーク性が、住田の家庭環境にあり、それが上っ面ばかりの学校教育と完全にずれているところは、この作品の痛烈な学校教育の批判だおる。茶沢の家庭も悲惨である。これもどろどろした悲惨さだ。その茶沢が住田に惹かれるのは当然な成り行きなのかもしれない。普通に生きることの難しさを訴えている。そこに染谷将太と二階堂ふみの演技が冴え渡っている。

ヒミズのテーマは両親から自分を否定されつづけながら、自分を生かし続ける力、正当性をどう手に入れていけばいいのか。それがないと自分が自分でなくなってしまう。親に暴力を振るうのは最初はためらう倫理観を持っていた住田が最後に爆発してしまう。そして自分が自分でありたいと思うことからの反抗であったが、それが自分の強い否定となってしまう。それを助けるのが、茶沢の盲信的な住田に対する愛なんだろう。住田はそれによって救われるのだが、だが、最後まで茶沢に全ての心を許していないところがいじらしいのである。

茶沢がロウソクを灯して、住田に自首を勧めるところや最後の住田が自殺を試み、警察に自首することを決めて茶沢と走るシーンは本当に素晴らしい。特に染谷将太と二階堂ふみの演技が実にいい。

My Rating(評価): 16/20
アクセス数:2