丹下左膳余話 百萬両の壺 1935

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丹下左膳余話 百萬両の壺 1935

監督: 山中貞雄
出演: 大河内傳次郎, 喜代三, 澤村國太郎


丹下左膳のパロデイ映画である。
監督山中貞雄が、伊藤大輔が作っていた虚無的な左膳のイメージを廃して根っからの好人物に変えて、コメディ版にしている。僕の子供時代に見た映画はやっぱり怖くて強い丹下左膳だからかなりイメージが違う。

これは面白い映画である。それに展開が日本的でない。
左膳とお藤の夫婦喧嘩の後、どんなに左膳が嫌と言っても勝つのはお藤である。まことに奥さんは強いのである。最初は、二人の言い合いがあり、左膳が癇癪をぶつけて終わり、次のシーンには左膳がお藤に負けた展開がある。これで観客が笑わないわけがない。このシーン展開がアメリカ的である、これはスティーヴン・ ロバーツ監督のアメリカ映画歓呼の涯(Lady and Gent、1932年)を基にしているからだろう。
このパターンは、柳生源三郎 と妻にあるのから、世の男性は奥さんの尻にひかれているという感じである。1935の当時、当然日本は亭主関白だから、家庭では困難ですというところが受けたんだろう。
屑屋役の高勢実乗、鳥羽陽之助コンビもどこか存在から笑いを誘うところが、コメディ映画に必要な脇役なのである。
バックグラウンドの音楽もとうりゃんせとかなり明るい音楽である。
大河内傳次郎の丹下左膳の立会いは、柳生道場で見られるのが、すごい広い間合いから飛び出して相手を倒す。なかなかない殺陣である。これは大河内傳次郎が剣道ができたからだろうか。
ただ最後の展開は、もう少し早くてもいいかな、最後まで、コメディだと疲れてしまう。緩急をつけるともっと面白かったかも。

2004年公開丹下左膳 百万両の壷(主演豊川悦司、監督津田豊滋)は、本作のリメイクである。

My Rating(評価): 15/20
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