雪之丞変化 1959

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雪之丞変化 1959

監督: マキノ雅弘
出演: 大川橋蔵, 淡島千景, 大川恵子, 進藤英太郎, 片岡仁左衛門

これは、1963の長谷川一夫主演の雪之丞変化を見たのでどう違うのかが知りたくて見た映画。それに大川橋蔵のほうが当時は若くてかっこ良かったし。

三上於菟吉の時代小説
松浦屋清左衛門の息子の中村雪之丞が父の仇を討つ復讐劇である。
いつもは、女型の歌舞伎役者であるが、実は父の敵討ちのために剣の修行も積んできた。雪之丞の復讐の計画は、将軍家のお妾であり、仇土部三斎の娘の浪路の方が、舞台を見に来たきっかけで現実化していく。

浪路のお方の雪之丞への恋情は並大抵のものではないが、この展開がどうしても市川崑の作品でもこの作品でももうすこしピンとこない。

なぜか復讐劇の盛り上がりが少ない。長崎屋三郎兵と広海屋与平は米騒動が始まって仲違いをして終わりが来る。それをきっかけに単純に最後の斬り合いで終わってしまっている。
最後に父を裏切ってまでも浪路が雪之丞を助けるのだが。これは、市川崑の雪之丞変化にはない。展開である。

大川橋蔵の華麗な剣の舞は歯切れが良くかっこいい。
お初の横恋慕は、なんだか不自然すぎる。当然、闇太郎と雪之丞が似ているのは気がついているはずなのに。そこがもっと面白い展開だと良かった。
雪之丞とお初と闇太郎が絡むのもあまりはっきりしない筋書きである。

三上於菟吉がジョンストン・マッカレーの双生児の復讐を基に描いたそうだが、確かに雪之丞と闇太郎は、瓜二つで双子のようである。ここははっきりと双子にしたほうが話は面白かったかもしれない。離れ離れになっていた兄弟が出会って、弟と一緒に父の仇を討つほうが自然である。

雪之丞変化も、もう少し雪之丞が華麗な歌舞伎役者の裏にある復讐の鬼をもう少し際立たせると面白い。これは市川崑の映画はそうなっている。

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