人情紙風船 1937

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人情紙風船 1937

監督: 山中貞雄
出演: 河原崎長十郎, 中村翫右衛門, 霧立のぼる, 加東大介

山中貞雄監督の日本映画。日中戦争で戦病死した山中の遺作。河竹黙阿弥作の歌舞伎『梅雨小袖昔八丈』(つゆこそでむかしはちじょう通称:髪結新三)を原作

この映画は、なんだか、ゴーリキーのどん底のような話である。
ここで問題なのは、どん底と思っているのは、落ちぶれた武士である。
ところが長屋の住人達のとっては長屋暮らしは天国のような楽しいところなのである。江戸に暮らす、金魚売や、盲目の人、大工にとっては、武士が首をつって死んでも、その供養に酒盛りをするのが楽しいのである。
髪結いの新三は、粋でヤクザにも負けない気性だが、あまりにも無鉄砲で綱渡りの生活をしている。
武士であっても町人であっても力の強いものには、頭を下げるしかない。町人にはなにかしたたかさ、生きる力があるのだが、落ちぶれた武士と妻には...

古い映画であるが、最初の金魚売りが江戸を歩くシーンといい、素晴らしい映像である。そして人情味あふれる、悲しい映画である。なにか見た後に心になにか残る作品なのだ。時代劇映画の一つのジャンルの中で最も傑作と言われる作品である。1937年度のキネマ旬報ベストテンで第4位だった。

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