雪之丞変化 1963

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雪之丞変化 1963

原作: 三上於菟吉
監督: 市川崑
出演: 長谷川一夫, 山本富士子, 若尾文子, 市川雷蔵, 勝新太郎, 船越英二,

冤罪で父親を自殺に追い込まれた雪之丞の復讐劇である。
三上於菟吉がジョンストン・マッカレーの双生児の復讐を下敷きに、歌舞伎白浪五人男の弁天小僧や三人吉三のお嬢吉三などからヒントを得て翻案したもの。

雪之丞変化の題名は非常に有名で子供の頃から知っていたが内容は覚えていなかった。それでこの映画を見たのだが。僕が見たのは大川橋蔵だったか?

確かに、中村雪之丞は闇太郎うりふたつであり、一人二役でやっている。ただ双子であったわけはないが、お互いに惹かれるものがあるという設定なのか。ただ面白さはあるが、二人の繋がりに、感情的、運命的な深さを感じない。復讐の展開はそれなりに面白いんだが、雪之丞と浪路の関係性の深さは描かれていない。復讐劇も実は現代劇をした時期にしているせいか、時代劇的な派手な展開ではない。それに親の仇を討つことへの罪悪感は日本の時代劇ではあまり描かれていないのですこしギャップを感じてしまう。

長谷川一夫は、男顔で女装をするには無理があるんだが。それにかなり年を取ってからだし。でも声の使い方、歌舞伎での踊りはさすがと思ってしまう。
これは長谷川一夫300本記念映画だから仕方がないが。実際には最初の雪之丞変化の映画も長谷川一夫が出演でこの映画の30年前に作られている。その頃の長谷川一夫を見たほうがよかっただろうが。

市川崑監督の映像美がいい。フルスクリーンを使った横幅のある画、光と影をつかった人物描写、迫力のあるカットが素晴らしい。一つ一つの映像が芸術であり、力強いメッセージを持っている。
脚本の和田夏十は、市川崑夫人である。

山本富士子は、べらんめ調が強すぎるが、おしとやか雰囲気よりこっちのほうが僕としては好みだ。若尾文子は本当に綺麗だが、若尾文子らしい若尾文子である。

市川雷蔵, 勝新太郎 の二人が出ているのだが、本筋とはほんとんど関係ない。ただ、市川雷蔵の昼太郎に次は俺の時代が来ると言わせるのはシャレだろう。

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