遊太郎巷談 1959

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遊太郎巷談 1959

監督: 田坂勝彦
出演: 市川雷蔵, 浦路洋子, 金田一敦子, 岸正子, 阿井美千子

殺陣がそれほどうまくないので、やや緊張感には欠けるが、ところどころ無理な展開もあるが、全体のストーリーは面白い。つう姫が大きな仏像の前で踊ったり、その後遊太郎が仏像の前で戦ったりするのはスクリーン的にも迫力があるし非常に面白い。これはやっぱり眠狂四郎的なところが多いからだろう。
時代劇的に、高貴な身に生まれたが一介の浪人として飄々と市井に日を送る美剣士であり、小太刀の秘法霞斬りの名手という設定もいい。ただ市川雷蔵の殺陣がしっくりきていないのは残念。

柴田錬三郎は、眠狂四郎も書いていて、それと同時期に遊太郎巷談が書かれている。当然この話に眠狂四郎的なところがないはずがないのである。これはもっとお色気があったら、いい映画になったのに。つう姫役の 金田一敦子は、かなりエロチシズムを感じさせる女優だと感心。

幕府転覆の陰謀はそれなりに面白いのだが、少し荒唐無稽だし、つう姫を利用するきっかけもやや映画の展開として無理があるのだが。もう少し脚本を練ってもらったほうがよかった。

最後の平手造酒との戦いも中途半端である。平手造酒は幕末の剣客であるが、飯岡助五郎との大利根河原の決闘に笹川方の助っ人として参加して死んでいるのでここでは、死ぬことはできないのだが、なぜ平手造酒をこのストーリーに出さなくてはならなかったのが不明。

それにしても、眠狂四郎的な設定でもう少し練りあげればかなり良いシリーズものになったかも。

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