The Double 嗤う分身 2013

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The Double 嗤う分身 2013
 
監督: リチャード・アイオアディ
出演: ジェシー・アイゼンバーグ, ミア・ワシコウスカ, ウォーレス・ショーン, ヤスミン・ペイジ, ノア・テイラー

この映画の一番驚いたところは、日本の歌謡曲がそれも昔の坂本九とブルーコメッツの曲がたくさん使われているところである。最後は韓国の曲である。どうしてこのような曲を使ったんだろうか。不思議な世界を描きたかったからだろうか。それとも監督は日本や韓国に住んだことがあるんだろうか。

確かに描かれている世界は幻想の世界みたいである。暗い閉鎖的な社会である。原作はドストエフスキーだからそういう時代だったんだろう。

存在感のないサイモン・ジェームズは、上司からも相手にされず、入院中の母もなんだか軽蔑しているような扱われ方をしている。それでも母の療養費を必死に工面している。向かいの部屋に住む同じ職場のハナに気があって、望遠鏡で覗いている。でも声をかけることができない。ある夜ハナの上の階に住んでいる男が窓際に立っている。その男はサイモンに手を振るとそのまま飛び降りる。
翌日に、自分と同じ顔をしたジェームズという男が入社してくる。サイモンと同じ顔をしているのに、容量がよく、人付き合いも良く、多くの女性と付き合うことができる。全てが自分ができないことであり、今までやりといと思っていたことばかりである。
ジェームズはサイモンが作った、自分がなりたい人物であり、こんな性格だったらこうなってしかるべきという状況を作り出している。実際はそんなことはないんだろうが。
上司や同僚は誰一人としてこの状況に驚くことも不思議がることもしない。どこまでが想像の世界で、どこからが現実の世界だろうか。実際は、全てが想像の世界なんだろうが。
最後がまた難しい。二人は同一人物だったのか。サイモンが飛び降りると、もう一人のジェームスは、頭に血を流して死んでしまう。サイモンは救急車に収容される。そしてサイモンに微笑むハナ。以外とハッピーエンド的な展開になっている。

当然この作品の原作はドストエフスキーの分身(二重人格)である。本の紹介には、
主人公は小心で引っこみ思案の典型的小役人。家柄も才能もないが、栄達を望む野心だけは人一倍強い。そんな内心の相克がこうじたあまり、ついにもう1人の自分という幻覚が現れ、精神の平衡を失い発狂してゆく。管理社会の重圧におしひしがれる都市人間の心理の内奥をえぐった作品。と書かれてある。

心の内面の葛藤が表にでて現実化し、別の人物を作り出し、次第に自分を苦しめるようになる。このストーリーの原型がこのドストエフスキーの二重人格なのである。

監督のリチャード・アイオアディは、イギリス1977年生まれ。
ハナ役のミア・ワシコウスカは、アリス・イン・ワンダーランド、ジェーン・エア、イノセント・ガーデンに出演している最近注目の女優である。
ジェシー・アイゼンバーグは、ゾンビランド、ソーシャル・ネットワーク、グランド・イルージョンに出演している個性的な俳優である。

日本の歌は、Akasaka Rain, Sukiyaki, Sougenno Kagayaki, After the Sayonara, Blue Chateau

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