歌行燈 1960

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歌行燈 1960

監督: 衣笠貞之助
出演: 市川雷蔵, 山本富士子, 倉田マユミ, 小野道子

泉鏡花が1910年に発表した小説歌行灯が原作。
能楽の名手・喜多八は、若気の至りからある素人謡曲師宗山の芸を侮辱し、憤死させてしまう。師匠である父、恩地源三郎からは破門、勘当される。宗山の焼香に来た喜多八は、美しいお袖を宗山の妾と誤解していたが、娘だと知る。そして彼女に恋情を抱くのだが、諸国を門付して歩く身となった。

いい映画である。僕は、この映画の中の音、最後の展開で喜多八がどこからか、謡が聞こえてくるのだが、それと托鉢の鉢の音、念仏が重なる。んーここが日本的なんだな。こんな音を混ぜられると唸ってしまう。
山本富士子の演技はまだ硬さがあるが、それでも魅力ある舞を見せている。市川雷蔵はいつものようにいい男であり、こうした若気の至りで身を潰しながら恋するボンボンがよく似合うんだな。それにしてもクライマックスに持ってくるストーリーの展開はさすが、泉鏡花だ、こうした流れは本当に日本的でありハリウッドには真似できないものである。

この映画で喜多八はがお袖に教えるのは玉ノ段であり、これは、能楽海人のクライマックス部分であり、写実性にとみ、独立した仕舞としてよく上演される。

泉鏡花の小説も読んでみたくなった。

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