海を感じる時 2014

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海を感じる時海を感じる時 2014

監督: 安藤尋
出演: 市川由衣, 池松壮亮

これは原作が悪いだろう。何が文学上の事件だ。ただ高校生のエロ話でしかない。最初に見終わった時にそう思ってしまう。
言うならば私小説であり、なんだか洋は太宰治を連想させるんだが。男は体に興味があると正直に答えたのに好きだから抱かれた。どうしても振り向かせたい。それでも振り向かなかった男がすこし振り向いてくれた。しかし洋が姉と自分の乳首の色について話し合ったのが気に入らない。

母親も何かヒステリックな叱責が際立っていて、人物像がはっきりしない。
最終的に行きずりのおじさんと寝て、嫉妬をさせて、去っていく。ただ身勝手で幼い恋愛遊びのように見えてしまう。

話の流れが重苦るしくて、退屈である。どこかで息を抜くところが欲しいのにそれがない。話の展開を説明する恵美子の独白があっても良かったのに。
タイトルの海を感じ時が、小説を読んでいないものにはわからない。最後に海岸に立って何を感じるの?と思ってしまう。小説では、母性の象徴であり、子宮という容器のこと。生ぐさいにおいのする呪いにみちた海であり、涸れるまで拡がっては引いて何もかも呑みこんでいく。ということらしい。

つまりは恵美子も、洋が体を求めていただけだが、洋の体を求めていたのは確かだろう。逆に洋が恵美子に心を寄せるようになると、急に洋に対する恋情が冷めていく自分に気がついたのかも。
やっぱり心の奥を描写する小説を映画化するのはかなり難しかったかなと思ってしまう。
市川由衣は、本当にこの役に没頭した体当たりの演技である。もう29歳だし高校生の役としてはどうだろうかと思うが、でも可愛いしこれでいいな。

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