大菩薩峠 1957

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大菩薩峠 1957

監督: 内田吐夢
出演: 片岡千恵蔵, 中村錦之助, 長谷川裕見子

大菩薩峠は、5度ほど映画化されている。最初が、大河内傳次郎、片岡千恵蔵で2度3部作、市川雷蔵版の三部作、もう一つが仲代達矢版である。

片岡千恵蔵版の大菩薩峠も3部作である。物語の展開は、市川雷蔵版よりも早い。1作で竜神の滝までいってしまう。この映画はどちらかと言えば、大ヒットした小説をダイジェストに展開して行く形で描かれている。
僕は、市川雷蔵が好きなので多少この映画には不満がある。ただ、お浜役の長谷川裕見子は、市川雷蔵版の中村玉緒とは違う味があっていい。片岡千恵蔵の方が殺陣はやっぱりうまい。剣の構えに深みがある。島原の遊郭で竜之介が狂乱して御簾を切って行くシーンは、市川雷蔵版の方が良いか。
この映画のもう一強い所は、やっぱり宇津木兵馬役で中村錦之助が出ていて脇役のキャラクターが光っているところだ。巡礼の鈴の音はいつも大菩薩峠の映画では印象深い音である。

どうしてこれほどこの映画の主人公の机竜之介が好かれたのだろう。
テーマは人間の業である。
剣を追い求めて、暗黒の道に踏み込んだ机竜之介。暗黒の道に進んだはずの机竜之介は、辻斬りしたお松の祖父やお浜の幽霊に悩まされる。そして盲目になるのだが、人殺しのくせは抜けず辻斬りをつづける。身の保身のみを願う女の業の代表として、お浜がでてくる。お浜は、竜之介を悪の道の深みに誘う女手もある。そして祖父を殺されてもけなげに生きるお松、兄の敵討ちを忠実に果たそうとする宇津木兵馬、そしてお松を助けるスーパーマン的な存在の盗賊の裏宿の七兵衛 。

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