Blade Runner ブレードランナー 1982

  • 投稿日:
  • 更新日:
  • by
  • カテゴリ:

Blade Runner ブレードランナーBlade Runner ブレードランナー 1982

監督: リドリー・スコット
原作: フィリップ・K・ディック
出演: ハリソン・フォード, ルトガー・ハウアー, ショーン・ヤング, ダリル・ハンナ, ジョアンナ・キャシディ

SF映画の金字塔とも言われるこの映画は、2019年11月のロサンゼルスが舞台。もうこんなに時間が経ってしまったのかと思ってしまう。
原作は、フィリップ・K・ディックのSF小説、アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (Do Androids Dream of Electric Sheep? by Philip K. Dick)である。

この映画は何度も見ているのだが、最初は理解を超えていた。ただ、どこか不思議な世界に連れていかれて不思議な世界で怪しげな殺人者たちが死んでいくSF映画だなと思った。
ただ、繰り返し見ているとこれは、あれ、これはフィリップ・マーローだ。レイモンド・チャンドラーの世界をSFにしていることがわかった。なるほどなるほどデッカードとレイチェルの関係はそうなんだけど。ただ、チャンドラーの小説なら、レイチェルを逃しても一緒に逃げることはしないだろう。そこが少し違うか。

それにしても日本のテイストがいっぱい入った世界である。日本語もよく出てくるし、強力わかもとやTDKの宣伝がある。日本がまだバブルの頃だからだろうか。世界から注目されていた時期でもあったからだろう。
ブレードランナー2049では、日本語も出てくるが、韓国語や中国もかなり入ってきた。ソニーはやっぱり入っているけど。

それにしても最初に映画を見たときから印象にあるのは、J.F. Sebastianのアパートの不思議な雰囲気である。ロボットなのかアンドロイドかわからない不思議な人達がいて。そしてプリスが人形のようにメイクをしてデッカードを襲う。またこれがすごい。バク転を繰り返しながらデッカードを襲うし、肩車になって首をひねるし。
またデッカードに撃たれた動きが、壊れたロボットのような動きをして不思議な印象を与える。ロイの動きもすごい、壁を突き破って顔を出すところは正直驚いた。ロイの走り方、表情もいい。さすがルトガー・ハウアーだ。

最後のロイがビルから落ちかけたデッカードを助ける。そして自分の寿命を知っているかのように、鳩を手にしていて、座ったまま死んでいいく。
その時には鳩が飛ぶのである。彼はどうしてデッカードを殺さなかったのか?これが疑問なのだが。
デッカードが落ちて死ぬよりも自分の手で殺したかったのだが、デッカードを引き上げたところで自分の寿命が尽きたのを知った。鳩はその前から持っていたから、そろそろ命が尽きるのはわかっていただろう。
もう一つの可能性は、彼は、レイチェルとデッカードのことを知っていたのかもしれない。だからデッカーにレプリカント(ネクサス)の未来を託したのかもしれない。
リドリー・スコット自身も理由は余りわかっていないようだ。反射的に助けた、ロイにもヒューマンな部分があったとか。

最後のシーンにデッカードを監視しているガフが作っていた折り紙が本当に生かされている。最後に上手く効いている。この小道具がまたいい使い方をしている。

芸者の顔が大きなビルの壁に映るのだが、この映像を真似(オマージュといった方がいいのか)をするSF映画、アニメがなんと多いことか。
日本の女性の演歌が流れる。これは、日本のアニメにかなり影響しただろう。

タイレル博士がロイに殺されるときは両目を潰されている。それが、ブレードランナー2049のウォレス博士につながっている。ディレクターズ・カットで入れられたシーンは、デッカードが見るユニコーンの夢などがあるのだが、最後にフィナルカットにこれが入っている。

映画の中に出てくるモニター画面がみすぼらしいのは仕方がないか。ここは予想できなかったようだ。
映画音楽は、Tales of the FutureとLove Themeは、演奏がヴァンゲリスである。懐かしい。

やっぱりこの映画は、レイモンド・チャンドラーの探偵フィリップ・マーローのテイストがしっかりとある。レイチェルとの恋は明らかにチャンドラーテイストである。
セバスチャンが住んでいるアパートの名前はブラッドベリであり、これは当然小説家レイ・ブラッドベリからとっているだろう。

さてこの映画はSF映画の金字塔と言われるのはどうしてだろうか。
圧倒的な近未来の世界観がありながら、デッカードが持っている感覚には、古いアメリカに存在するフィリップ・マーローにある感傷的でクールでありながら熱い心ががあるからだろう。そこにこの映画が好きな人は魅了されているのである。

Blade Runner ブレードランナー 1982 記事はこちら

Blade Runner 2049 ブレードランナー 2017 記事はこちら

My Rating(評価): 17/20
アクセス数:7