伊豆の踊子 1963

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伊豆の踊子 吉永小百合

伊豆の踊子 1963

監督: 西河克己
出演: 吉永小百合, 高橋英樹, 大坂史郎, 十朱幸代, 宇野重吉

実際の作品にはない、大学教授(宇野重吉)の40年前の追想から始まる。
この作品は、学生と踊子の淡い恋心だけでなく、踊子、薫の視線から見た大人の世界にも焦点が当てられている。そう言う意味では、原作の川端がよく使う手法の学生の立場から踊子を描いた作品とはかなり違う味わいが出ている。
しかし薫の素朴で、純粋な気持ち、生き生きとした学生に対する恋心がしっかりと薫の立場で描かれている。そして原作には描かれていない人物が出てくる。娼婦のお咲(南田洋子)、お清(十朱幸代)それに人夫頭などである。ただこれはその時代の世相をよく表している設定であるし、薫の未来の予感というか、学生との身分違いがはっきりと際立つようになっている。この映画に深みを与えている。

吉永小百合の初々しい若い頃が映し出されている。踊りも綺麗で可憐である。吉永小百合の笑顔は、トレードマークであるように思えるがそれが存分に出ている。そして踊子の初々しい恋心、大人の世界への不安、娼婦の運命の儚さに対する驚きと恐怖とが、彼女の表情にうまく表現されている。それにしても踊っている時の吉永小百合の可憐さは素晴らしい。

高橋秀樹の若い頃の姿も映し出されて、若い頃の高橋英樹はかっこよかったと再認識できる。

踊り子と学生という組み合わせが今ではどんな状況だったか想像しにくいのだが、1963年のこの映画の封切当時も、同じようにこの設定は難しかったのかもしれない。それで、導入と最後にダンサーと結婚する学生を出してその当時と、原作が描かれた時代を対比してるのだろう。

そういえば山口百恵の伊豆の踊子もあったが見た覚えがあるような内容なである。また一度見たくなった。

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