古都 1963

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古都 1963古都 1963

監督: 中村登
原作: 川端康成
出演: 岩下志麻, 吉田輝雄, 早川保

古都は原作を読んでいる。古都といえば北山杉であるが、これは、まったく東山魁夷の絵とイメージが一致する。だから東山魁夷も好きになったと思ったのだが。実はこの小説と東山魁夷は繋がっている。初版刊行本の口絵には、終章と同じ題名の「冬の花」と題する東山魁夷の北山杉の図が掲載しているのだが、これは、川端の文化勲章受章祝いとして描いたものである。なるほどと思う。

映画は、京都の有名な祭りを通じて、祇園祭、大文字の送り火、時代祭を通じて四季を描いている。

岩下志麻の美しさが光るし、一人二役であるが、綺麗に化粧された千重子と化粧っ気がない苗子の対比が素晴らしい。当時22歳である。いつもは非常に緊張感が漂う綺麗な顔立ちであるが、このときはもう少し少女の雰囲気を漂わせている。

千重子と苗子の双子の姉妹を描いているのだが、
千重子は捨てられ、呉服問屋の佐田家で我が子として育てれられた。大学に行きたかったが、父から呉服問屋をつぐためには必要がないと言われ、呉服問屋の仕事を覚えている。そして将来の夫は家のために選ぶことになると考えている。
千重子は、呉服問屋の娘として、傾いている家をしっかりと支えていく決心をしている。

苗子は、子供の頃から双子のもう一人の姉がいることを聞かされていたが、両親は幼い頃になくなっている。自分の方が両親に残されたことを、引け目に思い、今の千重子の幸せを決して壊すまいと心に誓っている。

最後に苗子は、最初で最後に千重子と一緒に夜を過ごし、今後千重子の幸せを壊す事は一切しない決心で北山に帰ってくのである。
その最後のシーンのなんとも切ない余韻が良いんのである。

川端康成らしくいつものように激しい芸術に対する思いが衝突シーンがある。それは、千重子の父が描いたクレーの絵からヒントを元にした図柄に、秀男が意見するところである。父の太吉郎はその図柄を破って捨ててしまう。

三人でスッポンを食べるシーン
祇園祭の宵山で、苗子と会うシーン
北山杉の山の中で、雨に打たれて二人が抱き合うシーン
千重子の家に泊まり二人で抱き合うシーン

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