ブリッジ・オブ・スパイ Bridge of Spies 2015
監督: スティーブン・スピルバーグ
出演: トム・ハンクス, マーク・ライランス, エイミー・ライアン, アラン・アルダ
アカデミー助演男優賞を獲得している。
格調高くよくできた映画である。久しぶりのスティーブン・スピルバーグだが、やっぱり彼はいい作品を選んでいる。
ドノヴァンの巧みな交渉術と高潔な性格が描かれ、そして東ドイツでのやり取りはサスペンスいっぱいである。さすが、トム・ハンクスと拍手がしたいくらいである。
誰もが好きになる映画であり、サスペンスもユーモアもその時代の悲しい出来事も描かれていて内容が濃い映画である。
アメリカが冷戦を描くのは本当に珍しい。イギリスの冷戦時代のスパイ映画はいつも裏切りが中心で暗いのだが、これは、アメリカンテイストたっぷりで、最初と最後のドノヴァンを見る人の目が違うところが楽しい。
物語の最初にソ連のスパイが捕まるシーンも、非常によくできて緊張感がある。東ドイツのシーンも寒さがよく伝わってくるが、あまりドノヴァンが寒そうでないのが少し残念。
アベルがストイキー・ムジック(不屈の男)となんどもドノヴァンのことを言うのが面白い。アベルが人質交換をされて、ソ連に戻るときの扱いを心配して最後まで彼を見送るところがいい。
いつからかドイツに行ってからは頻回にドノヴァンがいつもハンカチで鼻をかんでいるのが面白い。
ドノヴァンが家に帰って、二階に上がったら、家族が人質解放のニュースを見て驚いているのがまた楽しい。そして二階に上がった妻が彼の寝姿を見て微笑んで世話を焼くシーンはクラシカルなアメリカ家庭をうまく描いている。
最後の列車の中で、ドノヴァンがフェンスを乗り越える楽しげな子供達を見て、ベルリンの壁を乗り越えようとして撃たれた人達を思い出すところが、味わい深いのである。
ソ連のスパイルドルフ・アベルを演じたマーク・ライランスがアカデミー助演男優賞を獲得している。
ジェームズ・ドノヴァンは実在の人物で、映画の最後にテロップされている。
ソ連のスパイが住んでいたニューヨクのアパートには、トーマス・カポーティも住んでいた。
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