華氏451 Fahrenheit 451 1966

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華氏451 Fahrenheit 451

監督: フランソワ・トリュフォー
原作: レイ・ブラッドベリ
出演: オスカー・ウェルナー, ジュリー・クリスティ, シリル・キューザック, アントン・ディフリング

華氏451の世界は、支配者が思考統制を行っている。テレビを利用してマインドコントロールしている。そして誰もが何かストレスがある。なにか暗い世界である。

今見てもSF的な作りは優れている。消防車もモダンだし。モノレールもモダン。トリュフォーらしく色彩にも凝っている。

華氏451のファイアーマン(消防隊)である。映画では、住人から質問を受けるが。以前はファイアーマンは家事の消火に当たっていたらしいと。ファイアーマン馬鹿なと、家は当然耐火構造になっていて燃えない。本を燃やすのが仕事だと。答える。確かにフィアーマンという名前がすこし変なのだ。日本語では消防士ならすこしわかるが、でも火を消すということではない。

消防署の中と主人公のモンタークの家の中を描いていることが多い。老女が自分の本を燃やして自分も焼き死ぬシーンが印象的である。そして最後の森のシーンが違った世界に入ったような感覚を与える。
随所にフランソワ・トリュフォーが、ヒッチコックの映画のシーンの効果を試しているところがある。
最後に消防署長を火炎放射器で焼き殺して逃げたモンタークは、政府が自分の替え玉を使って処刑されたように民衆に思わせる映像を見る。これはいろんなSFでよく使われる手法である。これがオリジナルだろう。確か最近では、ハンガーゲームにも同じようなシーンがあったような。

ジュリー・クリスティがクラリスとリンダを一人二役で出演している。映画の企画当初は、二人を考えていたが、候補の女優が断ったことと予算が少なかったこと、フランソワ・トリュフォーが二人がよく似た女優がいいということで最後にプロデューサーのルイス・アレンがジュリー・クリスティの一人二役を提案した。

ジュリー・クリスティは、ドクトル・ジバコでラーラーを演じていた。そうだったかという感じである。アカデミー主演女優賞も取っているがダーリングという映画は知らない。最近の映画ハリーポッターにも出演している。

オスカー・ウェルナーは、寒い国から帰ったスパイ 、突然炎のごとく などに出演している。刑事コロンボ(ビデオテープの証言)の犯人役などでも

この映画では、監督のフランソワ・トリュフォーと主演のオスカー・ウェルナーが全くうまくいかなかった。映画を見ても納得してしまう。どうしてもモンタークの心理の変化がわからないのである。演出がうまく流れていない。あまりに彼の演技に現れているのが、最初からストレスであり、常にストレスと鬱状態があるように思える。この作品の中で、本の良さを本当に理解して、本に熱中していく過程が汲み取れない。ただストレスが強くて本に逃げている、最後に署長を殺して逃げただけで、本に人生を捧げるような気持ちが反映されていない。
これは演技のせいなのか脚本のせいなのかわからない。
以前に見たときも、最後の雪の中でおじいさんに自分が覚えた小説を語って聞かせるシーンが非常に印象的である。最後のシーンしか印象がないの理由も再度見てわかった。あの雪のシーンは偶然だそうだ。撮影日にシーズン最初の雪が降ったのである。それがあの効果を生み出した。レイ・ブラッドベリも、最後良いと2流の作品でも光るといっているがそうの通りである。
あの少年が小さな恋のメロディのマーク・レスターであるのは、テレビを見ていて解説で知った。
ちなみに華氏451は本が燃える温度ということだが本当はどうだろうか。摂氏にすると232度である。レイ・ブラッドベリが色々電話で調べたが誰も答えられなかったらしい。最後に消防署の署長が華氏451と答えらしい。その数字の響きがよく、レイ・ブラッドベリはそれを本のタイトルにした。

このストーリーを考えたレイ・ブラッドベリは、貧しくて大学を出ておらず図書館で勉強をしていた。そう意味で本に対する思いれが強い。何かが道をやってくるでも最後の舞台は図書館だった。

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