欲動 2014

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欲動 2014

監督: 杉野希妃
出演: 三津谷葉子, 斎藤工

ユリと余命短い夫の千紘は、妹の久美の出産に立ち会うためにバリ島を訪れた。ユリは看護師なので、自宅分娩を希望している久美には心強い人でもあった。
死がせまっている夫がユリに投げた一言にユリは傷つく。"人の死に慣れたお前が嫌なんだ"。そして彼女の中に鬱積したものが吹き上がる。そしてナイトクラブで出会ったジゴロ・ワヤンに強引に誘われる。

僕にはこの話は理解不可能だ。ただ、監督で俳優の杉野希妃を交えたシーンの多くは、非常に自然な会話でどれだけがセリフでどれだけがアドリブなんだろうと思った。

欲動という言葉は初めて聞いた言葉であるが、精神分析学の用語である。無意識の衝動であり、それは自己保存欲動もしくは性欲動に分かれる。
その意味で言えば、病弱な夫の生活に合わせながら抑えてきたものが、夫、千紘からの言葉によって自分を否定され、ユリの中にあった欲動が動いた。それは、自己保存欲動であり性欲動であったということなのだろう。

最後のシーンで千紘がユリの名前を呼びながら、海岸から右の画面の向こうに消えていく。ユリは座ったままで動かない。これも意味深なシーンである。夫は、自殺するために海に入ったのだろうか?そしてユリを呼んで一緒に死にたいと言っているのだろうか?そしてそれを無視するユリがあるんだろうか。
確かに千紘は、以前ダイビングで事故にあって自分を助けようとした人が死んだとユリに告白した。そして自分が死ぬときは、ユリまでも道連れにしかねないので一人で帰れと話した。それが最後のシーンの伏線なのかもしれないが。

杉野希妃は、韓国映画が好きで韓国に留学、そして韓国で女優デビューをして、監督にもなった。なんかすごいパワーを感じる人である。不幸にもオランダで交通事故にあって重傷を負ったということだが、できるだけ早い復帰が望まれる。

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