ゲド戦記 Tales from Earthsea 2006
監督: 宮崎吾朗
脚本: 宮崎吾朗, 丹羽圭子
原作: アーシュラ・K・ル＝グウィン
岡田准一, 手嶌葵, 菅原文太, 風吹ジュン, 田中裕子
この作品に対しては一般に評価が低い。大方の批判の中心は、原作のよさを壊しているからだろう。そして何かこれは宮崎駿の作品のニュアンスを引きずっている。それは特にエンディングに見て取れる。確かに、これは親を超えるための模倣のようにも見えるのだが。それでもそこが僕には楽しめたところなんだが。作品としてはまずまずのできなのであるが。
全体的な作品の印象としては悪くない。最初のエピソードのアレンがどうして父を殺して剣を奪ったかはわからない。そしてアレンの悩みもわからないままで物語が終わってしまっている。そこにキャラクターの深さを与えずに、物語の展開にこだわってしまった失敗があるだろう。
すこし調べると王子が父を殺すエピソードは原作にないのだ。これは、？？よく考えてみれば、宮崎吾朗から宮崎駿へのメッセージのようにも見えてしまう。だが、これこそ本当に原作者が言いように、動機がなく、きまぐれ。人間の影の部分は魔法の剣で振り払えるようなものではない。
そして父の力で監督になったのに、父殺しを描いて剣をとっても自分のものにもならないし、自分の力にもならないのだが。ここを乗り越えないと一流の制作者、監督にはなれないと思えてしまう。
My Rating(評価): 12/20
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