Black Orpheus Orfeu Negro 黒いオルフェ 1959

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Black Orpheus Orfeu Negro 黒いオルフェ 1959
監督: マルセル・カミュ
出演: ブレノ・メロ, マルペッサ・ドーン, マルセル・カミュ, ファウスト・グエルゾーニ, ルールデス・デ・オリベイラ, レア・ガルシア

アカデミー外国語映画賞

最初のシーンからまったくもってノックアウトである。当時のブラジルをこれほど衝撃的に描けるとは。
オルフェのギリシャ神話を素晴らしい形式美を使い描いた映画である。
最初にカルロス・ジョピンのボサノバのリズムとともにブラジルの風景が映し出されボサノバの有名な曲フェリシダーヂが流れる。この映画でボサノバが流行したのだが、この映画を昔見てボサノバが好きになったかもと思ってしまった。
リオデジャネイロの町を見下ろす丘で、二人の子供が遊んでいる。子供が太陽を象徴とした凧をあげる。セラフィナが太陽をまぶしそうにそれを見上げる。素晴らしいオープニングである。

小さい頃にこの映画を見たんだが、そのときの衝撃が忘れられない。ギリシャ神話に興味があった時期でもあったし、ブラジルのリオのカーニヴァルという不思議な世界もギリシア神話のような世界と思えた。

ボサノバだけでなくサンバのリズムも素晴らしい。リオのカーニバルのなにか不思議な力、恐ろしさが冥界を歩いているようにも思える。ブーズー教らしいシーンと死の世界をつなぐところとがうまく生かされている。ただ、冥界からの暗い道を二人で歩くシーンがあったような気がしたのだが、それはなかった。

ユーリディスを付け回す死神の仮面を付けた男がすごい。現代版ストーカーのようである。そしてリオのカーニヴァルの中で彼女を見つけ、そして追い回すのだが。最後にユーリディスが死ぬ原因がまた衝撃的である。

ギリシャ神話の話とは最後は違うのだが、これはまた現代のオルフェウスの話ということなのだろう。オルフェとユーリディスの最後のシーンもすがらしい。最後の子供3人のシーンも素晴らしい。新しいオルフェの出現という結末で終わる。

オルフェの名義上の父はアポロンである。この映画でも太陽が昇ることに意義を持たせているし、リオのカーニバルの仮装では、オルフェはアポロンの神となっている。

オルフェ役のブレノ・メロもブラジル人である。彼の歌声もいい。俳優として他に5作品ほど映画に出ているようである。

ミラ役のリオデジャネイロ生まれのルールデス・デ・オリベイラが非常に美しい。そしてサンバの踊りもすごい。
ユーリディスの従姉妹のセラフィナ役のレア・ガルシアの演技も素晴らしくなにか明るい魅力にあふれている。彼女もリオデジャネイロ生まれである。
ユーリディス役のマルペッサ・ドーンは、映画の役通りなにか田舎が出て来た素朴な少女のイメージである。しかし彼女はアメリカのピッツバーグ生まれである。

この映画では、丘の上からリオデジャネイロを望むシーンが何度もでてくるのだが、リオデジャネイロで有名なコルコバードのキリスト像が遥か遠くに見えている。

オルフェウスは、ギリシア神話に登場する吟遊詩人で竪琴の名手である。妻のエウリュディケーが毒蛇にかまれて死んだため、冥界に行き冥界の王ハーデースにエウリュディケーの返還を求めた。非常に悲しく美しい竪琴の音色により、ハーデスの妻のペロセポネがハーデスを説得して、エウリュディケーを連れ戻すことになる。オルフェウスはハーデスと冥界から抜け出すまでの間、決して後ろを振り返ってはならないという約束をした。二人はオルフェウスを前に歩いていくのだが、冥界を抜け出す手前でオルフェウスは、不安にかられ後ろを振り返ってしまう。そして妻エウリュディケーとはそれが最後のわかれとなる。

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