大菩薩峠 第二部 1958

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大菩薩峠 第二部

原作: 中里 介山
監督: 内田吐夢
出演: 片岡千恵蔵, 中村錦之助, 長谷川裕見子, 東千代之介, 木暮実千代

この映画もややダイジェスト的だ。物語が端々で飛んでいる。
この映画のあらすじは、竜之介がお豊と竜神の池から逃げ落ちて、伊勢古市に身を隠しす。病気がちのお豊が神尾主膳に犯され、自害する。山の芸人お玉(お君)からお豊のことを聞かされた竜之助は虚無僧姿で江戸に向けて東海道に旅立つ。道中山の娘たちに助けられて温泉で療養するが、神尾主膳の悪事に巻き込まれ、竜之助は槍をとって主膳の家来を殺す。主膳は竜之介の腕を見込んで家来に加え、一路甲府へと向う。

竜之介は盲目と言ってもすべてが見えないわけではないらしい。すこし人の影くらいは見えるようだ。それで盲目になっても剣のほうは滅法強い。そして必ず女性からの助けがある。何か昔のTVシリーズの逃亡者みたいだ。中里 介山がこれを知っていたわけはないので、こちらがオリジナルだろう。

やっぱり片岡千恵蔵の殺陣が素晴らしい。温泉宿での戦いではまさに迫真の演技である。それまで静かになっていた机竜之介の心の中にまた煮えたぎり殺気が蘇ってきたのを観客は感じる。これを竜之介には期待していたのだ。

最後のシーンは、竜之介が乗っている籠が開き、刀を出して構えるのだが。そこに煙が立ちこめ、竜之介が回転する。すこし演出が凝り過ぎている気もするんだがあの時代ならよかったんだろう。


中里介山は、独身会を結成して終生妻をめとらなかった。幼少の頃に味わった家庭の暗さがトラウマになっているからだという。これが、竜之介の虚無感の原動力になっているのかもしれない。

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