剣 1964 KEN

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原作:三島由紀夫
脚本:舟橋和郎
監督:三隅研次
出演: 市川雷蔵, 藤由紀子, 川津祐介, 長谷川明男、紺野ユカ

原作は三島由紀夫。三隅研次監督の剣三部作の第二弾である。現代劇であったのに驚いた。
オープニングは、すごくモダンなデザインで出来ている。
そして、国分次郎のつぶやきで始まる。少年の頃、太陽とにらめっこしてその本質を見た。まぶしくてとても正視できない絶対の正義。その輝きを全身にあびて強くなりたい、強く正しくなりたいと願った。そこで剣を学んでそこに最も新鮮な、純粋な生命の輝きを掴みうると信じた。
三島由紀夫の文学らしい純粋さを追求する為に、それが高じて自殺に至る。剣道に生きる孤高の青年の精神を描いている。彼の理想とする生き方でもある。
東和大学剣道部の全国大会での団体優勝を誓う。それも個人優勝ではなく団体優勝である。彼に主将としての責任がのしかかるのだが。
映画の進行とともに国分次郎の姿が克明に描かれて行く。
友人の自殺に対して、身体も心も弱いやつだった。本当弱いやつか本当に強いやつかどっちかではないと出来ない。国分次郎は語る。
また、生きる目的は現在の充実だ。剣だ。国分次郎に言わせる。
なぜ傷ついた鳩を殺そうとしたか、彼が無意味なあがきに憤ったためと伊丹真理が言う。
国分次郎の剣に対する純粋さと、その強さの裏にある儚さを見事に描いている映画である。また市川雷蔵の演技には、三島由紀夫が求める強さ、美しさ、純粋さ、儚さがあるとさえ感じられる。

市川雷蔵の映画 the world of Raizo Ichikawa

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