第三の影武者 1963 The third shadow

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原作; 南条範夫
監督: 井上梅次
脚色: 星川清司
出演: 市川雷蔵, 高千穂ひづる, 万里昌代, 天知茂, 小林勝彦
題名は第三の男(1949)から、ヒントを得ているのだろう。映画も、第三の男や市民ケーンなどの照明や光と影などを生かした撮影が施されている。
この影武者の映画は、本当に面白い。黒沢監督の影武者よりもずっとリアルである。
貧乏郷士の杏之助が、容貌が城主池本安高に似ていることから三番目の影武者になる。彼の他に二人の影武者がいたのである。闘いの最中流れ矢が安高の左眼に突きささる。城主が左目を失ったため、同じように影武者三人は左目を潰される。
池本家が裏切りにあい襲撃されると、杏之助は、右手を失った池本安高を助けて落ちのびるが、またも右手を切り落とされるかと思い、逆に池本安高を殺し池本安高にナなりすます。
このストーリは黒沢映画の影武者よりも数段面白く、影武者の運命を鋭く描いている。
影を暗示するシーンの作り方が素晴らしい。とりわけ高姫と祝言を挙げたが、高姫を待つ部屋で、杏之助のふすまに映った大きな影が印象的である。結局は杏之助は本物になれなかったことを暗に示している。

非常にストーリーも映画としても当時としては非常に質が高かった映画ではないかと思う。

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