Bottle Shock 2008 ボトルショック

  • 投稿日:
  • 更新日:
  • by
  • カテゴリ:

監督:ロンダール・ミラー
出演;クリス・パイン、アラン・リックマン、ビル・パルマ

1976年のフランスワインとカリフォルニアワインの対決;パリスの審判を題材にした映画で2008 Sundance Film Festivalで公開された。パリスの審判とは、ギリシャ神話の一番美しい女神をパリスが決める逸話からパリで行われたワイン対決とをかけて、そのとき取材したタイムの記者だったジョージ・M・テイバー が書いた小説の題名から来ている。ただのparis tastingということもある。

映画では、そのパリのワインの試飲対決を開催したアカデミー・デュ・ヴァンのスティーヴン・スパリュアと白ワインの部門でフランスに勝ったシャトー・モンテリーナの社長ジェイムス・バレットと息子のボーそしてそこで働くメキシコ人のグスタボ達の出会いと試飲対決で勝つまでが描かれている。

ボトルショックは、ワインを瓶詰めする前の状態の後の状態でいったんワインが閉じてしまうことを指していることが多い。今回は映画で、ワインを瓶詰めしたら茶色になったことをボトルショックと言っているが、実際になったのだろうか?
カリフォルニア・ディビス校(アメリカのワイン醸造学の権威の大学)の教授に尋ねに行くのだが、それはシャルドネのパーフェクトワインにあり得ることで、数日で透明に戻ると言われた。

ボトルシックネスなんて言葉もあるが、これは、ボトルを輸送する振動でボトルの内のワインが化学変化と言うよりは、物理変化により香りや味わいが大きく変化して本来の香りや味わいを損なってしまうことを言う。しかし、白ワインでは、ボトルに詰めたあとに茶色になるのは、ワインの中の不安定な物質が多かった可能性がある。蛋白質、フェノール化合物、銅イオン、鉄イオンなど。その中でも銅、鉄イオンの過剰によるCasse (copper casse, ferric casse) が起きたのではないだろうか。沈殿すれば濁りは消えるだろうが、振ればまた濁るだろう。特に鉄イオンはボトルに入れる時に空気に触れるので酸化して一旦濁る。そしてボトルにしばらく置いておけば、還元状態になってまた溶ける。おそらく土壌に鉄分が過剰に多いか、特に新しい設備で、醸造中にワインに鉄分が溶け込んだかどちらかだろう。原因がわかれば、この濁りは避けることができただろうが、何分ワイン作りの初めてだからいろいろ起きたのだろう。

ハリポタでスネイプ役のアラン・リックマンがスティーブン・スパリエを演じている。どちらかと言えば、威厳があるように見せかけているイギリス人みたいに描かれている。

ワインの話なのに、葡萄の育て方、ワインの作り方、味わい方、フランスワインとカリフォルニアワインの違いについて語る台詞がほとんどでてこなく、ワイン好きには消化不良。ただ単にアメリカン人の成功物語になって、イギリス人やフランス人は滑稽に描かれている。

グスタボがブラインドテイスティングの天才で、行きつけのバーで行われるが、Ch.シュバル・ブラン 1947が最後に出てくる。これも当ててしまうが、その当時はそれほど高くなかったかもしれないが、それでもシュバル・ブランの伝説のワインであるから..非常に高いはずなのに。

映画で出てくるシャトー・モンテリーナの正面は本物。

シャトー・モンテリーナ
1976年、パリテイスティングでフランスワインを負かして優勝したシャルドネのワイン。マロラクティック発酵は行わず、ステンレスタンクにて発酵、新樽は15%以下に抑えてある。どちらかと言えば、カリフォルニアワインにありがちな酸が少なく樽の香りが甘く香ってくるシャルドネのワインというよりは、できるだけフランスワインの味わいに近く仕上げられている白ワインである。

スティーヴン・スパリュア
1970年、29歳の若さでパリのシテ・ブリエ通りにワインショップ「カーヴ・ド・ラ・マドレーヌ Caves de la Madeleine」を開店。その後、1972年にはワインショップの隣に世界初のワイン愛好家向けスクール「アカデミー・デュ・ヴァン Académie du Vin」をオープンした。
1976年フランスワイン対カリフォルニアワインの比較試飲会、通称「パリ対決 Paris Tasting」を主催した。フランス人審査員によるこの試飲会で、名だたるフランス・ワインが当時はほとんど無名のカリフォルニア・ワインに白ワイン、赤ワインの両部門で敗北を喫した。20世紀後半のワイン界を震撼させ、歴史を変えたテイスティングとして伝説になっている。

まだ日本語版のDVDはない。今回はアメリカからDVDを注文した。日本でも早くDVDがでるといいが。

CM07.jpg
My Rating(評価): 15/20
アクセス数:198