日本のワイン Wine of Japan

日本のワイン Wine of Japan

北海道
上川地方(富良野盆地、上川盆地)
空知地方(浦臼町、三笠市、岩見沢市)
後志(しりべし)地方(余市平野)
十勝地方(十勝平野)

山形県
庄内平野 
山形盆地(天童市、上山市)
置賜(おきたま)地方(南陽市、米沢市)

長野県
長野盆地、上田盆地、佐久盆地
松本盆地
伊那盆地

山梨県
甲府盆地


日本ワインの定義 国産ブドウを原料とした果実酒  
国税庁によって2015年10月30日に法的に定められた。

国内製造ワインの概況によって初めて日本ワインの生産量を明らかにした。

国内製造ワイン 原料が国産か海外産であるかにかかわらず、日本ワインを含む、国内で製造された果実酒及び、甘味果実酒を国内製造ワインと呼ぶ。

日本ワイン生産量 18613㎘ 18.4% / 国内製造ワイン 100921㎘

日本ワイン 白ワイン 47.3% 赤ワイン 41.4% スパークリングワイン4.7% その他が6.6%

ワイン原料用国産生ブドウの品種別受入数量
北海道  3708t
赤ワイン キャンベル、ツヴァイゲルト、セイベル
白ワイン ナイアガラ、ケルナー、ポートランド

山形県  2428t
赤ワイン マスカット・ベリーA、メルロ、カベルネ・ソーヴィニョン
白ワイン デラウェア、ナイアガラ、シャルドネ

長野県  6704t
赤ワイン コンコード、メルロ、巨峰
白ワイン ナイアガラ、シャルドネ、龍眼

山梨県  8586t
赤ワイン マスカット・ベリーA、 巨峰、メルロ、カベルネ・ソーヴィニョン
白ワイン 甲州、デラウェア、シャルドネ


日本のワインの特徴
細長い島国で、総面積は、37800000ha
ドイツとほぼ同じ面積
国土の75%が山間部、
1. 多様性
2. 発展途上の産業
3. 捉えにくかった実態
4. 海外原料への依存
5. 多様な栽培形態
6. 小さな生産規模


1. 多様性
北限から何限までの緯度の差が13度にもなる。北限、名寄44.1度 南限、鹿児島県の曽於郡 31.3度
気候も大きく異なる、標高差、地形も多岐にわたる。 
品種の多様性、ヴィティス・ヴェニフェラからヴィティス・ラブルスカ、そして東洋系品種、野生ブドウそしてそれらの交雑種、交配種からもワインが造られている。
2.発展途上の産業
ワイン作りの歴史は140年と長いが、ブドウ栽培に根ざしたワイン造りが盛んになり始めたのは1980年代からで日本ワイン産業は発展の最中にいる。
2000年以降、ワイナリーの設立が活発化している。現在は日本ワインを作っているワイナリーは230軒
山梨県が約3割弱を占めトップであるが、近年長野県、北海道でのワイン造りが活発化しており、ワイナリーが増える可能性が高い。

3捉えにくかった実態
国税庁が二つの手法で国内において生産される果実酒の年間生産量を調べている。課税数量の把握、果実酒製造業の実態についてのアンケート調査
2015年、国税庁は果実酒等の製法品質表示基準を定め、ワインのラベルに関する法制度を整えるとともに、その前年から詳細な調査を実施し始めた。

4海外原料への依存
国内製造ワインの製造数量 100921㎘
日本ワイン製造数量 18613㎘ 18.4%
果実酒の製造県 1位 神奈川県 2位 栃木県

4多様な栽培形態
ワイナリーはまだ自社管理畑でのブドウでワインを作ることは少なく、契約農家やJAと良好な提携関係を築いていくことが原料ブドウの確保には生命線となる。

5小さな生産規模
約80%は年間生産量が13万本以下の小規模ワイナリーで、この比率は近年増加している。小規模ワイナリーがさらに増えている。

歴史

ワイン作りの始まり
1874年 山田宥教(ひろのり)、詫間憲久(のりひさ)が甲府にて初めて本格的ワイン造りを始めた。
1877年 大日本山梨葡萄酒会社(通称 祝村葡萄酒醸造会社)
1927年 川上善兵衛、マスカット・ベリーA、ブラック・クィーンを新潟県で開発

生産の拡大
ワインブームと品質向上

気候風土
北海道 後志地方 潰瘍性気候、 空知地方 内陸性気候 いずれも梅雨がない 秋が短く、積雪もあるために生育期間が短くなっている
山形県 内陸性気候の栽培地が多い、秋雨に悩まされることが少なく、生育期間が長くとれる
長野県 北海道よりは降水量が多い、全ての栽培地が内陸性気候、9−10月も晴天が続く
山梨県 盆地の内陸性気候、降水量はやや長野より多い、日照量はほぼ長野と同じ、

ワイン法
主として酒税法と酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(以下、酒類業組合法という)が定められている。
酒税法では酒類の分類、定義及び税率が定められている。
酒類をアルコール分1度以上の飲料(薄めてアルコール分1度以上の飲料にすることができるもの、または溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含むと定義している。

1発泡性酒類(ビール、発泡酒、その他の発砲性酒類)
2醸造酒類(清酒、果実酒、その他の醸造酒)
3蒸留酒(連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ)
4混成酒類(合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒)
ワインは果実酒に、フォーティファイド・ワインは一般的には甘味果実酒に含まれる。

果実酒等の製品品質表示基準 2015年10月30日に国税庁によって定められた。

ワインラベルの表示ルール
表ラベル
日本ワインの場合のみ、日本ワインという表記、地名、ブドウの品種名、そしてブドウの収穫年を記すことが可能となる。
海外原料の場合は上記を記すことはできない。海外原料を使った場合には、輸入濃縮果汁使用、輸入ワインなど、その旨を記すことが義務となる。
単一品種の表示 単一品種を85%以上使用した場合
2品種合計で85%以上使用し、量の多い順に表示する場合(2品種の場合使用量の割合を併記する必要なし)
3品種以上の表示
表示する品種を合計85%以上使用し、それぞれの品種の使用量の割合を併せて、使用量の多い順に表示する。

ブドウの収穫年の表示ルール
同一収穫年のブドウを85%以上使用した場合。

裏ラベルの一括表示
裏ラベルには、記載事項をまとめて表示した一括表示欄を設ける。
表示する文字の大きさ8ポイント(200ml以下の容器の場合は6ポイント)以上(酒類の品目表示を除く)
日本ワイン(日本ワインの場合、日本ワインと表示する義務がある。)
品目(果実酒など。表ラベルに表示した場合には、裏ラベルの一括表示欄への表示は省略できる):例 果実酒
原材料名:例 ぶどう(日本産) 日本産の代わりに長野県産、塩尻市産を表示することも可能
製造者
内容量
アルコール分

日本における地理的表示
地理的表示制度
商品の確立した品質や社会的評価がその商品の産地と本質的な繋がりがある場合にその産地名を独占的になのことができる制度である。


焼酎:壱岐、球磨、琉球、薩摩
清酒:日本酒、白山
ぶどう酒: 山梨

ワイン産地が地理的表示の指定を受ける要件
1.酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性が明確であること
2.酒類の特性を示すための管理が行われていること。


統一的な表示
消費者が、酒類のラベル表示から地理的表示制度に基づいた種類であるかどうか区別できるように、消費者にわかりやすい統一的な表示ルールとして、酒類の容器または包装に地理的表示を使用する場合は、使用した地理的表示の名称のいずれか一箇所以上に、
地理的表示
Geographical Indication
GI
の文字を合わせて表示する。

品種
東洋系品種
日本固有の土着品種や中国産の品種が含まれる。
甲州など
ヨーロッパ系品種(Vitis Vinifera)
アメリカ系品種( Vitis Lubrusca)
日本野生ぶどう(Vitis Coignetiae/ Vitis Amurensis) ヤマブドウ
日本特有の交雑/交配種
ヨーロッパ系交配種 ケルナー、ドルンフェルダー

甲州
やや薄い藤紫色
日本の在来品種
歴史
雨宮勘解由説
大善寺説 僧行基

2013年DNA 酒類総合研究所の後藤奈美による
Vitis ViniferaのDNAに、中国の野生種Vitis DavidiiのDNAが少し含まれている。

甲州ブドウの特徴
果皮が比較的厚く、ヨーロッパ品種に比べて耐病性がある。樹勢は比較的強い。晩生のブドウとされているが、収穫時期は9月中旬から10月後半までと幅広い。ヨーロッパ系白ブドウ品種に比べて糖度が上がりにくく、地理的表示「山梨」を名乗る際の甲州の最低糖度が14度なのもこうした特徴があるため。そのためほとんどの生産者がワイン作りの際に補糖をしている。最近はブドウの中に含まれる匂いの物質(チオール系物質)の前駆体の量に注目して収穫時期を決める生産者もいる。

仕立て
基本的に棚仕立て X字剪定がほとんど、一文字短梢剪定も採用されている。山梨では、最近増えている晩腐病のため傘かけをする生産者も多い。
樹勢が比較的強く垣根仕立てには向かないとされてきたが、近年、山梨、大阪府で取り組む生産者がいる。棚仕立て二比べて収穫量は激減するが、粒も小さくなり糖度も上がることが報告されている。その他の仕立てにジェノヴァ・ダブルカーテンがある。

甲州ワインの産地
山梨県に集中している。日本で生産される甲州ワインの96.3%が山梨県のブドウを使っている。
2000年以降、甲州の醸造量は激減している。

甲州ブドウの生産地
甲府盆地東部に集中している。

甲州市 塩山、菱山、勝沼、祝、東雲、鳥居平、
北杜市 明野町(中央葡萄酒、キュヴェ三澤明野甲州)

Muscat Bailley A マスカット・ベーリー A

栽培地 山形県、長野県、新潟県、山梨県、石川県、岡山県、島根県、宮崎県ほか
1927年、川上善兵衛が開発して登録した。川上善兵衛が開発した品種の中でも最も普及しており、川上善兵衛ゆかりの岩の原葡萄園のある新潟はもちろん、北海道を除く本州と九州で広く栽培されている。2015年度の受入数量は3374t。日本ワインの全体の中では13.4% をしめ、甲州についで2番目に多い。一方赤用品種の中では最も多く、日本でもっともおおく造られている赤ワインはマスカット・ベーリー Aのワインになる。県別の受入数量が最も多いのが山梨県で2025tで、山形県、長野県が続く。山梨県が日本全体の60.9%を占めている。生食用も兼ねている。
樽熟成のあるなしの赤ワイン、ロゼ、スパークリングワインの赤とロゼなどスタイルは多様。樽熟2年以上の長期熟成タイプも近年増加中。
ワインは甘いキャンディ香が特徴的で、渋味が穏やかなものが多い。仕立ては棚仕立てが主流だが、一部垣根仕立てもある。
ベーリー X マスカット・ハンブルグ

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