Romanée-Conti 1998 ロマネ・コンティ

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Romanée-Conti 1998 ロマネ・コンティ

romaneeconti1998.jpg外観 ややエッジにオレンジが入っている輝きのある濃いルビー色
リッシュブールとラ・ターシュの中間の濃さである。
香り グラスに注がれた香りからノックダウンである。この日同じヴィンテージのリッシュブールもラ・ターシュもこの素晴らしい香りには、ひれ伏すしかないだろう。霊妙な香りとはこのこと言うのだろう。スパイス、ミントと言う言葉では表すことのできない、香りのトーンが非常に高い高貴な香りがする。その中に深い赤い果実や花の香り、大地の香りなどが複雑に在るのだが。多くの香りを分析するのができないくらいこの霊妙な香りの中に浸っていたい気持ちになる。一口づつ飲む前にこの香り嗅いで幸福になる。
味わい 最初の一口から優しい味わいである。香りのインパクトからすれば味わいは非常に優しい。きらきらと光るような奇麗な酸と果実の深い味わいが口の中に広がる。そして余韻は、はは笑うしかない。細かなタンニンのテキスチュアーと上品なカカオの味わいが静かにいつまでいつまでも長く続く。味わいは優しくそして上品であるが、やっぱり厳かに秘めたポテンシャルを表現している。

このロマネ・コンティを飲めばやっぱりこのワインが一番素晴らしいのがわかる。他のワインを圧倒している。というよりもDRCの醸造方法はロマネ・コンティのためにあるのである。このワインの魅力が最大に発揮されるためにあるのである。他はおまけであると思えるほどである。

DRC1998.jpg
僕はアンチロマネ・コンティだった。このワインを飲んで絶賛する人が本当に少ないのである。やっぱりラ・ターシュが美味しいと言う人が多い。マット・クレイマーのルロワのインタヴューの中には、長年ラ・ターシュが好きだったがやっとロマネ・コンティの味わいの素晴らしいのがわかるようになったという。この言葉を聞いてどれだけロマネ・コンティを飲まなくてはわからないのだろうかと思ったのだが。
僕は長年(実際はそれほどワイン歴が長いわけではないが)、ロマネ・コンティの完全なる球体説に悩まされ続けて来た。確かにロマネ・コンティの魅力はその優しさにあるのだろうが、これだけでは18世紀以降の宮廷の人々を引きつけて来たとは思えない。特に当時のフランスの宮廷人が洗練された味覚を持っていたとしても、このワインの味わいの真の良さを理解していたとは思えないのである。近年に入って誰かがロマネ・コンティは完全なる球体である言うようになった。そして限られた人にしか飲めないこのワインは、ひとりでに、この完全なる球体説が歩きだしてまったと思う。それ以外に言えるとしたらDRCの宣伝の上手さによってだまされ続け来ただけと思えるのだが。

というのは、ロマネ・コンティを飲んでいるようなブルジョアではあるが、味覚は普通からちょっと優れた人がこの完全な球体を理解できるわけはないのである。なかには酸が嫌いな人や得意な人、タンニンが嫌いな人得意な人もいるのである。その人たちにとって完全なる球体の液体を味わっても球体とは思えないのである。それでもこのワインに魅力が在るとしたらそれは球体だからではないのである。
このワインの良さはやっぱり、誰にでもわかるこの高貴と思えるほどのスパイス香だろう。これが人々にもてはやされたに違いない。まろやかな味わいがこの香りとともに長く長く続くからである。マット・クレイマーも行っているようにこのワインはスパイスが強いのである。このスパイス香に当時の人たちは賛辞を贈ったと思うのである。
そして今回は1998年は今がちょうどこのスパイス香が華やかに香る時期なのではないだろうか。若すぎてもだめで、熟成し過ぎてもこのスパイス香は出ないと思うのである。つまりロマネ・コンティの飲み頃はこのスパイス香に合わせて飲むのが本当の姿を現してくれると思うのである。

マット・クレイマー ブルゴーニュのワインがわかるから
ロマネ・コンティの名を高らしめたのは、それがラ・ターシュやリッシュブールより断然優れているからではなく完璧な球体とも言うべきワインだからだ。完璧な球面には圧力が全方向に均一にかかるから、いかなる圧力をうけても破れることがない。この意味でロマネ・コンティは、完璧なるヴォーヌ・ロマネのワインと言える。
ヴォーヌ・ロマネのあらゆる特性を統一し、豊かにしながら、ゆがみがまったくない。リシュブールほど力感が溢れるわけでなく、ラ・ターシュほど強い深さと野性味があるわけでもない。そもそもこの両巨頭よりもずっといいかと言うとそういうことはない。しかしその完璧さは洗練の極みといってよく、かけがえない。心を打たれるのは、果てしない複雑さを見せながらもけっしてくたびれさせない点だ。
ロマネ・コンティの味わいはどういうものだろうか。なによりもまずスパイスめいている。その特徴も並外れて強いせいで、わざとらしささえ感じる。そして、偉大なブルゴーニュはそうしたものだが、葡萄は大地を表現する手段なのだと実感する。ヴォーヌ・ロマネのワインは土の風味をもつとして知られるが、ロマネ・コンティはどんなワインよりも申し分なく、豊かな陰翳をもってこれを描き出す。まことに霊妙なワインだが、なおかつその、さほどでもない重量感から案ずるよりも、遥かに長く熟成する能力がある。

総数5064

表面積;1.81ha
平均収量: 45hl
150ml*150mlくらいのほぼ正方形の畑
標高 260mlから275ml
斜度 6度

土壌 土壌は、沈泥 細かな砂と粘土の混合で、すぐに崩れ柔らかな砂、色は褐色で、小石と石灰岩の砂礫でできている。
低層にバソーシアン期の石灰岩があるプリモー期の石灰岩(ピンクの縞模様の入った石灰岩層。表土の深さは50cmほどで、小さな牡蠣の化石の堆積物で構成された泥灰岩である。

DRCのサイト http://www.romanee-conti.com/

1998 DRC 収穫(DRCのサイトから)
この年は、世界中が例年にない気候に悩まされた。ブルゴーニュも同じく不幸な天候であった。春は霜や雹に襲われた。コート・ド・ニュイや我々のドメーヌは、幸運にも壊滅的な損害を受けずにすんだのだが、一年中を通して寒い天候と暖かい天候が交互にやって来た。
やや暖かい冬の後、4月初旬に霜がおりたのだが、幸いにドメーヌには損害がなかった。しかしこうした寒い気候によって花振るいが起きた。それは後にミルランダージュや低収量を起こした。
5月は、天候がよく暖かかった。成長は非常に早く、芽かきを手早く仕上げなくては行けなかった6月の初めから開花した。寒い天候が続き、開花は数週間にも及んだ。その時に花ふるいが起きたので、ミルランダージュにより収量が減ることを覚悟した。
6月の最後には暖かさが戻って来た。葡萄の成長も非常に早く、天候のめまぐるしい変化の中で誘引などの畑仕事を間に合わせるのがこれほど大変な年はなかった。
8月は、1998年を特徴づける天候がやってきた。例外的な熱波である。気温は43度まで上昇した。これは、葡萄の成長を早めたが、逆に、特に若い葡萄の樹には、非常に強いストレスを生じた。太陽に照らされた葡萄が干し葡萄化(*と訳されているんだが、実際は、灰色に乾燥しひからびた実だろう。)した。これほどまでの状態になったのは初めての経験である。こうなってしまった葡萄はもちろん除去した。
8月の終わりには、熱波は幾分和らいだ。そしてちょとした雨を待っていたが、幸運にもそれ後起こり、果実の成熟はより加速した。この雨は9月の中順まで続き、次第に憂慮すべきものとなった。腐敗が始まり、成熟が止まり始めたのだ。
そして、最後の最後に、ブルゴーニュの気候にはつきものの奇跡が起きた。天候は良くなり、それも理想的な天候が戻って来た。北風が吹き、良好な天気、それほど熱くない状態など腐敗を止めて、成熟を助ける要素がすべてそろった。
9/19より収穫を始めた。良好な天候のもと、若い葡萄の木は既に熟していた。


- Sept. 19 & 20 : young vines
- Sept. 20, 21 & 22 : Romanée-St-Vivant, Richebourg
- Sept. 22, 23 & 25 : La Tâche
- Sept. 24 : Romanée-Conti
- Sept. 25 : Montrachet; Grands-Echezeaux
- Sept. 26 & 27 : Echezeaux

総ての収穫は、美しい天候のもとでできた。26thのみ雨が振ったが、最後の収穫となった27thは良好で冷涼な日であった。
これ以上ないほど収穫はうまく行った。再び、収穫時の選果は非常に重要であった。干しぶどう化(*と訳されているんだが、実際は、灰色に乾燥しひからびた実だろう。)した葡萄の実(実際にはこれらは全く熟していない)と腐敗果を取り除くのが、、当初思っていたよりもずっと最終的に最も重要であった。
糖度は12°1~12°7で満足のいくものあり、酸度は期待以上に良かった。
収穫量は20hl/ha~27hl/haである。
1998は、上質なワインの生産は、葡萄畑のコントロール、正確な収穫日、最後に選果の質によるだろう。

クライブ・コーツの評価である。
だいたい僕が味わった感想に近いし、1998年は、やっぱりロマネ・コンティが
ダントツに良くて、次にリッシュブールで、ラ・ターシェは何か物足りないものだった。

The Wines of Burgundy から。

Romanée-Conti 1998
非常に愛おしい香り、霊妙で言いがたいほどの複雑さがある。素晴らしく偉大なフィネスがある。非常に申し分ないバランスがある。非常に愛しいフルーツ感がある。これは、ミディアムボディである。非常に個性的であるが、大柄なワインではない。非常に良くこなれたタンニン。立体的な味わいで、非常に非常に品格がある。愛おしくそして非常に長く強い余韻がある。驚くほどまとまりがある。本当に素晴らしいワインである。 19.5

Richebourg 1998
ロマネ・サンヴィヴァンよりも幾分深みがある。非常に豊かで、華やかな香りである。味わいにブッラクチェリーがあり、新樽のニュアンスを感じる。ロマネ・サンヴィヴァンよりも生き生きしている。豊かなボディ、リッチ、集中していて、新樽があり、果実に溢れている。非常に深い味わいである。非常に印象に残る味わい。ロマネ・サンヴィヴァンにはない活力がある。非常によくこなれたタンニン。余韻も長く、複雑そして非常に上品である。
19.0

La Tâche 1998
すこし集中力が欠けている。リッシュブールに比べると少しぼんやりした香りである。味わいは香りよりもよい。しかしグリップも果実味もやや少なめである。タンニンを少し感じる。ワインは十分に良いのだが。実際、口の中では豊かでバランスがよく生き生きしている。しかしここでも何かがたりない。非常に良いワインだが、今年はリッシュブールの方が渡しの好みである。


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テイスティング: 2013年12月13日
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