John Grisham ジョン・グリシャム

ジョン・グリシャムが好きになったのは、やはり、ザ・ファームとペリカン文書の映画をみてからだ。細かな設定から始まり次第に緊迫感と窒息感が読者に迫ってくる。そして最後の展開の爽快感が好きでたまらなかった。ジョン・グリシャムは、一つ一つ巧みに設定を細かく書いていく。そして最後の痛快な展開へとテンポが急激に変わるのが彼の常套手段だ。以前の小説、評決のとき、依頼人、ファーム、レインメーカーなどはすべてハッピーエンドだった。しかし徐々に彼のスタイルは人気法律小説家から、召喚状、謀略法廷、告白などしだいにただのハッピーエンドではなく、社会派の法律小説となってきている。

この小説は、ほとんど原文か原文の朗読(audio book)のスタイルでずっと読んできた。オリジナルの英語の文章は簡潔で分かりやすく、英語で読みはじめても挫折せず最後まで読み終えることができる。問題は法律用語だけです。逆に法律用語の勉強にもなる。中には映画でみているものもあります。

本当にいろいろ読んでもジョン・グリシャムは外れがない。

ジョン・グリシャムのサイト http://www.jgrisham.com

A Time to Kill (1989) 評決のとき   

映画化
監督: ジョエル・シュマッカー
出演: マシュー・マコノヒー, サンドラ・ブロック, サミュエル・L.ジャクソン, ケビン・スペイシー
ミシシッピ州でふたりの白人青年に暴行された黒人少女の父親カールが犯人を射殺。人種差別と社会問題を絡めた裁判をテーマにしている。

The Firm (1991) ザ・ファーム/法律事務所  

映画化
監督: シドニー・ポラック
出演: トム・クルーズ, ジーン・ハックマン, エド・ハリス, ホリー・ハンター
弁護士のキャリアを始めたばかりの若い主人公が、大規模な法律事務所に隠された陰謀の渦中に巻き込まれて行く。

映画から見たが、法律事務所の陰謀と息がつまるサスペンスあり、上質な娯楽映画だった。小説も同様にすばらしくおすすめ間違いない。

The Pelican Brief (1992) ペリカン文書  

映画化
監督: アラン・J・パクラ
出演: ジュリア・ロバーツ, デンゼル・ワシントン, サム・シェパード, ジョン・ハード
一夜にして二人の最高裁判事が暗殺される事件が起きた。その裏には大きな利益をもたらす土地に、自然環境を保護すべき貴重な動物が棲んでいることを隠そうとする大企業の陰謀があった。

これも、映画から。それにしてもジョン・グリシャムはこうしたサスペンスの描きかたがすばらしい。小説、映画もどちらもおもしろい。

The Client (1993) 依頼人

映画化
監督: ジョエル・シュマッカー
出演: スーザン・サランドン, トミー・リー・ジョーンズ, ブラッド・レンフロ, メアリー・ルイーズ・パーカー
これは、映画とAudio book。こどもが偶然に見た男の自殺。その男はマフィアと深い関係にあった。こどもは持っていた1ドルをだして、女性弁護士にこの事件に関する依頼をする。アメリカ映画の娯楽の醍醐味である。

The Chamber (1994) チェンバー/処刑室

映画化
監督: ジェームズ・フォーリー
出演: クリス・オドネル, ジーン・ハックマン
死刑と南部のKKKに関する問題を描いた作品。ストーリーは長く、サスペンスも少なく、淡々と進む。それでも法律関係はおもしろいのであきることなく読み進めることができた。この感想は、コメント

The Rainmaker (1995) レインメーカー 原告側弁護人
映画化
レインメーカー
監督: フランシス・フォード・コッポラ
出演: マット・デイモン, クレア・デーンズ, ミッキー・ローク 保険会社を相手取って、保険金、補償金を獲得しようとする。これは映画のみ。これもなかなか映画のできがよく面白かった。ただ以前の作品に比べれば、サスペンスもすくなく観衆を引きつける魅力は減った感は否めない。

The Runaway Jury (1996) 陪審評決
映画化
ニューオーリンズ・トライアル/陪審評決
監督: ゲイリー・フレダー
出演: ジョン・キューザック, ジーン・ハックマン, ダスティン・ホフマン, レイチェル・ワイズ 原作が先で、映画が後に見ている。原作は、この主人公が何の目的で、陪審員になりたいのかを、なかなか明かさない。ここは読破していく最大の魅力だった。映画もなかなか良くできており好きな映画の一つである。

The Partner (1997) パートナー コメントはこちら
パトリック・ラニアンは、元弁護士。自動車事故で自分が死んだように見せかけ、法律事務所の取引きする9億ドルの金を盗んだ。4年後、彼は顔を整形し、非常に痩せて、ダニーロ・シルヴァと名前をかえ、ポルトガル語を話し、ブラジルの片田舎に住んでいた。突然彼は誘拐され、盗んだ金をありかを聞き出すために拷問される。パートーナーというタイトルが意味深である。


The Street Lawyer (1998) 路上の弁護士
今回は、浮浪者、路上生活者の問題を扱ったもの。主人公の弁護士は、あるケースをきっかけに、路上生活者と関わりを深めて行く。感情移入もしやすくいい作品である。

The Testament (1999) テスタメント

The Brethren (2000) 裏稼業 コメントはこちら

ブレスレン Brethrenの意味は、主に同信者、同業者などに対する堅苦しい厳粛な呼びかけに用いる。今回は、アメリカ連邦刑務所に収監された3人の元判事である。彼らが刑務所内で行う手紙を使った詐欺と、もう一つのストーリーのCIAが軍事費の増大を企み新しい大統領候補を擁立する話が絡み合う。

A Painted House (2001) ペインテッドハウス

Skipping Christmas 2001 スキッピング・クリスマス コメントはこちら

僕には、始まりから中盤にかけてコメディらしい雰囲気がないのが残念と思う。もうすこし主人公のルーサーと妻のノーラを面白く描けたらもっと良かったのにと思ってしまう。
最後のエンディングはまさにアメリカ的でみんなが楽しめる。

The Summons (2002) 召喚状  コメントはこちら

よく作られたサスペンス小説である。最後まで結末が判らない。ただこの小説の評価が低かったのは、ジョン・グリシャムの得意な法律問題に絡むものではなく、また最後まで個人的問題に限定されていたからだろう

The King of Torts (2003) 甘い薬害

Bleachers(2003) 観覧席 コメントはこちら

ジョン・グリシャムにしては、なにもスリリングでないし、法律関係でもまったくない。純粋に高校のアメフト、アメフトのコーチ、高校アメフトのOBの話である。コーチレイクの遺言は読者に感動を与える。読み進めるほどにグリシャムがここで書きたかったものがなにか分かってくる。そして最後にニーリーが得たものがなんであるかわかる。

The Last Juror (2004) 最後の陪審員 コメントはこちら

ジョン グリシャムの法律関係の小説は何冊も読んだり、Audio bookで聞いたりしている。この小説も、読みどころ満載であるが、ペリカン文書、法律事務所などのような大きな犯罪ものではないので比較的人気がなかったようだ。ただ読み物としては十分に楽しめた。

The Broker (2005) 大統領特赦 コメントはこちら

バックマンは、大統領の特赦によって20年の禁固刑が6年に縮んだ。ところが条件は国外退去である。そしてわけもわからずイタリアの町に連れて行かれ、いつも監視の目がある。一人でスパイや暗殺者に囲まれた窮地の中でどうやって自分の命をつないで行くか。本当にスリリングである。ジョン・グリシャムの作品の中では久しぶりに面白い作品である。

Playing for Pizza (2007) 奇跡のタッチダウン報酬はピッツァとワインで

The Appeal (2008) 謀略法廷 コメントこちら

これは、今まで読んだrain maker などで賠償金をもらった後の話のようなもの。どちら化と言えばエンターテインメントというよりは、ジョン・グリシャムが描いて来た法律の世界が現実は強い権力によって牛耳られていることを示す内容。

The Associate (2009) アソシエイト

Theodore Boone: Kid Lawyer (2010)

The Confession (2010) コメントはこちら

うその告白をさせられて死刑宣告を受けた黒人男性ダンテと、神父に実は私がその犯人だと告白する暴行魔のボワイエット。二人の告白がこの小説の中心。ダンテの死刑への手続きどんどん進行して行く。ダンテの弁護士と神父は、死刑執行を止められるか。

Theodore Boone: The Abduction (June 7, 2011)

The Litigators 巨大訴訟 (2011) コメントはこちら

今回のは、訴訟を起こして何とか金を儲けたい弁護士がいっぱい出てくる。それをグリシャムがこの小説の中で大いに風刺している。それがこの小説の中心だろう。

Calico Joe (2012)

The Racketeer 司法取引 (2012) コメントはこちら

ジョン・グリシャムの作品では、アメリカン・アフリカンが主人公は初めて。いつもの弁護士の活躍と言うよりは、FBIを相手に一発かましてやるという、何と言うか大胆な筋立てである。

Sycamore Row John Grisham プラタナスの木立 (2013) コメントはこちら

評決のときの続編である。今まで、ジョン・グリシャムはどの小説の続編も書いていなかったのだが。彼の今回は処女作の評決のときの3年後を描いている。

The Whistler 内部告発者 2016 記事はこちら

フロリダ州にある判事の不正を調査する組織と、不正を密告するものに報酬を与える制度を扱った物語。途中から急展開するのだが、あまり盛り上がりもなく事件が解決してしまう。最後はグリシャムらしい終わりかたなのだが。

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