起終点駅(ターミナル) 2015

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起終点駅(ターミナル)

起終点駅(ターミナル) 2015

監督: 篠原哲雄
原作: 桜木 紫乃
出演: 佐藤浩市, 本田翼

この映画は、最初の話で結城冴子が自殺してしまうところが衝撃的である。なぜ。なぜ自殺したんだろう。
ただこの物語はその理由を説明していない。
おそらく、彼女は社会的地位のある鷲田完治に、自分の以前の恋人の麻薬常習者が迷惑をかけることや彼が裁判官を辞めることを心配して自殺したのだろう。
彼女は、鷲田完治が司法試験に合格した時に彼から去ったのも何か自分が彼の将来の出世に邪魔になると思って身を引いたのだろう。
彼は彼女の自殺に対して、正々堂々と向き合えなかった。こそこそとその場を逃げてしまったのである。

彼は、愛した女性を死に追いやり、家庭を壊してしまった自分自身の罪から逃げるように釧路で弁護士として働いていた。
それは結城冴子に対する罪の贖いではなく、自分の家族を捨てる決心を翻すこともできず、愛した女性を死においやった理由を探し求めて人生を彷徨っていたのだろう。

椎名敦子の出現は彼にとって、結城冴子の再会ともかさなり何か彼の心に光を灯したのだろう。彼女と関わり、料理を一緒に食べることで次第に彼の中で止まっていた人生がふたたび動き出したのである。
椎名敦子が再出発のため釧路を出ることを告げに来て彼女を釧路駅に見送った後、一度断った息子からの結婚式の出席の申し出たったが、招待状を見つけて出席する決心をする。すこし人生を前向きに見えるようになったのである。

佐藤浩市は存在感がある裁判官、弁護士を演じている。ちょっと堅苦しさが僕には目立つ。
本田翼は今までの明るい少女役の路線とは違ったやや暗めの女性を演じている。彼女の演技には少しぎこちなさを感じるのだが、それでもそこに椎名敦子としての存在感を感じさせてくれた。
ちょっと釧路の天気と同じように話はどんよりとして、何度も見たいとは思わないが。見ればしっかりと心に残る映画である。

My Rating(評価): 15/20
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