愛のむきだし 2009

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愛のむきだし愛のむきだし 2009

監督: 園子温
出演: 西島隆弘, 満島ひかり, 安藤サクラ, 尾上寛之, 清水優

なんとういかB級映画的そして約4時間(237分)の長い映画なのに、ストーリーの展開が面白くて、最後まであっという間に見てしまった。盗撮、女装、パンチラ、変態が合ってもなんだか面白い。
しかし最後の1時間の展開は面白くなくてすごく残念だった。全体の話は、結末に向けて話が展開しているのはずなのに最後にカタルシスが味わえないのはどうしてだろうか。
軽快に進んだストーリーが次第にブレーキがかかって、どこか横道に逸れてしまった感じなのである。実話を題材にしてパロディ化しているんだが、最後に実話が重く入ってしまってうまく回らなかった感じである。

新興宗教、そればかりでなく宗教の中に隠れた欺瞞、独善などがテーマなんだろうが、最初は上手く描けていても最後はぼやけている。
親の愛の否定と宗教の否定でありヨーコとユウの愛の肯定がこの映画のテーマあると思うんだが、その演出が最後にうまく行っていない。
なんども言ってしまうのだが、本当に最後の展開が残念で仕方がない。
ヨーコが簡単にサソリを好きになってしまうところや、コイケにコロリと騙されてしまうところもつまらない。
そしてゼロ教会のマインドコントロールの主題が重すぎて全体のバランスを欠いていると思う。

ヨーコもユウそしてコイケも親に恵まれなかった背景はそれなりに面白いのだが、彼らが、親や宗教に囚われてしまう。
それまでの過程のなかであまりヨーコとユウとの会話に中身がない。バスの中でもあまり心が通じ合ったと思えない。もっと二人の心が絡んだシーンが欲しかった。
コイケもなぜあの時に自殺したかわからない。それに、ゼロ教会が解散したから、簡単にヨーコのマインドコントロールが溶けるようには見えないし。ユウが精神的に病んでもヨーコが会いに来たから回復するというのは簡単すぎる。
そんな展開だから最後は二人の愛が成就する過程が空回りに見えて仕方がないのだが。
父テツとユウの葛藤が最後にはゼロ教会の洗脳によってボケてしまってどこにも結末がない。

ヨーコがコリント前書第13章を絶叫するシーンは、そんなことが書いてあるんだとすこし納得。

実話からの話として、盗撮専門のAV関係者が、おそらくマインドコントロールされた家族を助けるために、
それを助けるための組織に掛けあったのに断られた経緯がストーリーにあるのは、実話から取って来たのだろう。ここにも宗教者の欺瞞があるのだが。

どこかエンターテイメントに徹しきれていない。マインドコントロール、自己破壊的な最後の重さがうまくパロディ的に飛んでないない。
そこがうまくできていたらもっと評価は上がったのに。
満島ひかりらしい個性がでいていたし西島隆弘もそれなりに個性が光っていた。



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