The Whistler 内部告発者 2016 John Grisham ジョン・グリシャム

The Whistler John GrishamThe Whistler 内部告発者 2016 John Grisham ジョン・グリシャム

フロリダにあるBJC (Board on Judicial Conduct)は、判事の倫理的な問題、行動を調査して不正行為がある場合は、判事の品質を判定する委員会に報告することが仕事である。そのBJCに従事しているレイシー・ストルツは、ヒューゴ・ハッチとともに、身元不明な男とセントオーガスティンで会うことになる。その男は、グレッグ・マイアーと名前を変え、注意深く敵からいどころがわからないようにボートで暮らしていた。
彼は、レイシーたちに、判事の重大な不正を報告する。グレッグ・マイアーは、判事の不正を報告したことから、報酬をもらうのが目的だった。そして彼には判事の近くに、判事の行動を見張るモール(スパイ)がいると話す。
レイシーたちは、調査を開始するが、彼女たちに不幸な出来事が起きる。
フロリダのインディアン居住区にできたカジノとその周辺のゴルフ場は、ファン・デュヴォースをボスとするコスタル・マフィアが不正な利益を得ていた。
そして判事のクローディア・マクドーヴァーはファン・デュヴォースと組んで、カジノ設立に有利に運ぶように、カジノ設立に反対していた無実のジュニア・メイスを友人と妻の殺人罪で有罪として死刑囚とした。
そしてカジノから得られる利益の一部をファン・デュヴォースと分け合っていた。レイシーとヒューゴは調査を進める途中、トラックがセンターラインを超えて二人の乗る車にぶつかる交通事故にあって、ヒューゴは死に、レイシーは頭部打撲と挫傷で病院に運ばれる。

さて今回のジョン・グリシャムのThe Whistlerは、主人公の一人ヒューゴが突然死に、急激な展開となる。
しかし、レイシーとFBIの捜査員のアリー・パチェコとの関係はあまり華やか火花を産まないし、読者も興味がわかない。それよりもアリーに対する不信感も抱きながら読んでいかなくてはいかない。
結局コスタルマフィアは、彼らが起こした交通事故で、大きな素人的なミスで崩壊してしまう。あっけない展開である。
レイシーの兄のガンサーは、少しうっとしい性格だが、ヒューゴがなくなった後に、レイシーのガードマンのようにいつも都合の良い時に現れて彼女を助ける。ちょっと都合が良すぎる。
最後は、ジョン・グリシャムの今までの小説のほとんどと同じように大団円を迎えるのだが、危機一髪のすれすれのスリリングもアクションも、物語の展開もない。ジョン・グリシャムが小説の中に設定した予定調和に落ち着く。

アメリカには、密告者に謝礼金を支払う制度があるし、犯罪者は、罪を正直に告白してFBIの操作に協力するとその罪を減刑される制度がある。これはこうした巨大な犯罪を暴くにはうまく働く制度なんだろう。

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