失楽園 1997

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失楽園 1997失楽園 1997

監督: 森田芳光
原作: 渡辺淳一
出演: 役所広司, 黒木瞳, 木村佳乃

この映画は昔評判に上がって、テレビドラマ化もされているが全く興味がなかった映画や小説である。最初から期待したわけでない。興味が湧いたのはシャトー マルゴーが話題となったこと。そしてテレビドラマでは川島なお美が演じてワインの話題を振りまいたののも記憶に残っていたからである。
だが、見てみるとなるほど人生も半ばをすぎると、こんなストーリーもありかも、中年男の妄想も悪くないと思えてくる。
ただ当時失楽園はブームになったような気がするが、今若い人が見れば色褪せた恋愛もので、色ぼけ中年の妄想で片付けられてしまうかも。

ほぼベッドシーンばかりである。これを真面目に見るとただのエロ映画でしかない。でもこれは、心中小説を映画化したものとし見る必要がある。これでどこが違うかというと、あまりないのだが。見るべき点は、不倫の最後にある心中。その不倫を美的に昇華させる、性に溺れた二人を美的に昇華させでいてるかが問われているのかな?

不倫の果ての心中。これは1997年の世相もあるだろうが。
今とは現実は違うのだろう。もっと今は性が解放されているのだろうし、不倫なんて世間の常識みたいなところがあるかも。離婚は今はもっと簡単にできそうだし。でもそれはこの映画がトレンドを作ったのかも。

不倫は不倫だけどね、ふしだらだけどね。ただこれを不道徳とだけ片付けるには簡単すぎるか。心中も一つの人生の終末の選び方であるし、文学的にはジャンルを作っても良いのかも。最後にどのように死ぬことで二人の愛が貫けるかである。今回は最後まで性にこだわっているところが面白いのかも。

僕はこの話はそれほど悪くないと思った。徹底したセックスの礼賛である。愛とは、セックスを貫くものならそれでもいいか。徹底していて。最後の心中としては小説を読んでいないのでどこで自殺したのかわからないのだが、雪の中で??
死体検案書がこの話に必要なのかわからないが?僕なら長いこと発見されない場所を選んで、白骨死体になるまで見つからないようにするな。

映画的には、これはやっぱり松原凛子演じる黒木瞳のヌードである。美しいねやっぱり。絡み的にはすこしエロっぽすぎるけど。その他のシーンも映像的に美しいシーンが多い。

My Rating(評価): 14/20
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シャトー マルゴーは、2度映画出てくる。最初は、どこかのマンションで、そして最後の心中のシーンでも。どちらも鴨とクレソンのなべである。
んーーこれとシャトー マルゴーとマリアージュできるだろうか?映画ではマルゴーのヴィンテージが出ていないのでなんとも言えないのだが。

僕はこの映画やおそらく小説に、中年男をたぶらかすマニュアルが書かれていると思う。実際には自分の前に黒木瞳のような女性は現れないが、若い女性が現れて、この映画のようにされるとすぐに毒牙にかかってしまうかも。という意味では、この映画か本を読んで免疫をつけておいた方が良さそうである。

とくに久木祥一郎が言う言葉
"すごくきちんとしてて、そのくせエッチで、いつも一生懸命で、どこかバランスの崩れている君が好きだよ。"
これは覚えておくといいし。

松原凛子の言葉、シャトー マルゴーを飲みながら鴨とクレソンのなべをつまんで
"二人でいただくとおいしいわ。ずっと二人きりで入られたら"
この言葉も覚えておかなければ、言われてしまうと中年男はイチコロかもしれない。


小説家には心中願望がありそうだ。
この小説のモデルは、有島武郎の心中事件だし、太宰治が愛人山崎富栄と共に入水自殺をした玉川上水入水心中は有名である。
そして曽根崎心中や、マイヤーリング事件もあるし。他にも笹沢左保「六本木心中」、司馬遼太郎「村の心中」、大岡昇平「来宮心中」、田宮虎彦「銀心中」、梶山季之「那覇心中」、川端康成の掌の小説の中の心中」などがある。