火の鳥 太陽編 手塚治虫 1986 - 1988

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hinotoritaiyo.jpg火の鳥 太陽編 手塚治虫 1986 - 1988

7世紀と21世紀(2009年)の2つの時代を交互に描いた物語。
主人公のハリマは百済の王族の血族であったが、白村江の戦いで敗れ、顔の皮を剥がされ、その上に狼の顔を被せられた。占い師のオババの助けで、・阿部比羅夫と共に倭(日本)に渡る。
ハリマは倭(日本)では犬上宿禰(いぬがみのすくね)と名乗り、狗族の少女マリモとの出会う。マリモは、ハリマを慕い彼の後を追う。やがて、中大兄皇子と大海人皇子の争い、壬申の乱に巻き込まれていく。
そこには、狗族などのもともと日本にあった八百万の神を崇めるひとびとと中国から渡来した仏教の神々の戦いも起きた。

一方、21世紀では、火の鳥を崇拝する宗教団体"光"一族と、追放され地下に潜ったシャドーの民との戦いがあり、スグルはシャドーのテロリストとして冷酷な人殺しを繰り返していた。スグルは、神の身体である火の鳥を破壊する作戦に参加するが、失敗して光のメンバーになるための洗脳施設に送られる。そこで狼の頭に似た洗脳用のヘルメットを被せられた。そこでヨドミに出会う。

スグル、ヨドミは、ハリマとマリモの生まれ変わりだった。スグルは死に、ヨドミ不老不死になったが自分の前世気づき狐に戻りスグルに出会う。そして二人は別の世界に行く。

壬申の乱の話は面白い。ここを題材にした話はあまりないので。それに、狗族や他の日本の古来の神々と仏教の神々が戦うの斬新なアイデアである。
太陽崇拝と火の鳥を絡めて、天武天皇が倭を日本と名付けて、天照大神を祖とすることきっかけになっていると描いているのも面白い。
火の鳥は今回はなぜか、ハリマの味方で優しい。どうしてだろう。罪も十分あるはずなのに。味方になったり、罰っしたり、火の鳥は本当に気ままである。


天智天皇
中大兄皇子は乙巳の変後、大化の改新を行った。百済が660年に唐・新羅に滅ぼされたため、朝廷に滞在していた百済王子・扶余豊璋を送り返し、百済復興を図った。
天智天皇になり、663年に白村江の戦いで大敗を喫した後、667年に近江大津宮へ遷都した。仏教の布教については詳しく書かれていない。

壬申の乱後
壬申の乱終わり天武天皇が、神道も仏教もそして道教も国家の治安のために日本全国に普及支えた。彼は、天照大神を祖とする天皇家との関係をもとに古代の国家神道を形成させ、天皇を称号とし、日本を国号とした最初の天皇となる。

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