Sour Grapes すっぱいブドウ 2016

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sourgrapes.jpgSour Grapes すっぱいブドウ 2016

監督: リューベン・アトラス、ジェリー・ロスウェル
出演: ローラン・ポンソ、ジェイ・マックナーニィ、ジェフリー・レヴィ

この映画は、有名な贋作ワインを作ったインドネシア系中国人のルーディ・クーニアワンとワインオークションついて描かれている。本当は愚かなワインコレクター達かアメリカのオークションのずさんさを描いているのだろうか?

特にルーディの手口は、巧みである。自分の周りに高級ワインコレクターの友人を作り、ワイン愛好家のコミュニティに溶け込んでいる。その後、彼らの情報を知り、どんなワインを集めているのか、そして彼らのワインテイスティングのレベルを知れば、どのコレクターにどんな贋作を売りつけていいかもわかる。それだけでなくワイン愛好家のパーティで飲まれた高額なワインの空ビンを全て集めているんだろう。そうすれば、空きボトルでまた新しいワインとして売れるのだから、喜んでワイン会に参加するのは当然である。たとえエチケットが剥がされても、新しいエチケット作ればいいのだからボトルとコルクを集めればいいのである。そうやってルーディは、ワインコレクターの中で盲目的にワインを集めてワインの味がわからない人達に取り入っていき、ワインを売りつけたのだろう。

アメリカのオークションの内情もすごい。それにしても怪しいオークションであり、サザビーズでないくオークション主催者が真贋に対して責任を負っていないのが本当に残念である。オークションを主催している会社が売り上げの20%を受け取るなら、当然ルーディと組んでで仕事をすれば儲かるに決まっている。

詳しい知識もなくオークションに参加するのは本当に怖い。ドメーヌがその年にはワインを作っていない、つまり存在しないヴィンテージワインや、エチケットのスペルミスなど、よくよく調べればわかるはずの贋作が、まことしやかにオークションに出品されているのが信じられない。この映画では語られていないが、実際に本物のワインですら出どころの問題(保管状態)があるのだが。転売されていくので本当の出どころがわからなくなってしまうケースも少なくないだろう。信じられないのは、クリスティーズがその後、ルーディが贋作作りで疑われても、ルーディーセラー(ルーディーが所有していたワイン)として売っていることだ。

呆れてしまうのは、ワインコレクターは、ワインの味がどうであろうと中身の入ったボトルが欲しいということか。当然これなら贋作天国である。アメリカのワインコレクターの愚かさを実感してしまう。
6000本くらいルディーから買ったコレクターは自分ではワインの味がわからないのだから仕方がない。もう一人のコレクターもろくにワインの歴史を調べないで、コレクションしている。当然ラフィット・ロートシルトがいつからワインを作っているかは知っておかなくてはいけない情報なのに。

本当にワインを愛する人は、飲んでなんぼである。100年前のワインは、ほとんどが味がなくなって水みたいになっている。つまり非常に古いワインはワインとしての美味しさでなく、骨董品的な価値しかない。それはもうワインではないのである。本当にワインが好きな人は、古いワインなら製造元が保管していたものを、蔵出しで買うのが一番確かである。オークションで買ってはいけない。

ローラン・ポンソは、このドキュメンタリーで正義の味方で、探偵ばりに登場するのが。本当にかっこいい。実際にポンソのワインは美味しいし、彼の独特なポリシーで、斬新な科学技術がワインのボトルにいっぱい詰まっている。

このドキュメンタリーの面白さそして怖さは、ルーディの犯罪や彼の正体について、結局はまだまだ謎が多いということだ。ルーディーの単独半とは思えない。これは家族ぐるみでやっている。Rudy Kurinawan は有名なインドネシアのバトミントンプレイヤーの名前であるし兄のDar Saputraもインドネシアのバトミントンプレイヤーの名前である。つまり彼らの名前はまったくの偽名である。
ルーディの母の家系を調べると、叔父達はジャカルタで有名な詐欺師である。一人は銀行から金を奪い中国に逃げたし、もう一人は持っていた銀行から金を奪い、オーストラリアに逃げた。彼らはまだ捕まっていない。
よくよく考えれば、ルーディ一味の次のターゲットは、中国である。きっと彼らは中国で多くの贋作ワインを作って儲けていると思えるのだが。

それにしても現在のワインの高騰にルーディーが一役買っているのなら、腹立たしい限りである。

酸っぱいブドウ
イソップの有名な寓話である。狐は、手のとどかないブドウはきっと甘くなくてすっぱいくてまずいから、誰が食べてやるものかと捨て台詞を言って立ち去るのが。
こうした高額なワインはどうせ、庶民の手には届かないものだが、今回は贋作ワインで中身がまったく本物でないし、酸っぱいブドウそのものかもしれない。
この題名はズバリで、センスがある付け方である。

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この映画には確かにいっぱいワインが出てくる。当然であるが。

コレクターが捜しているのがドメーヌ・ルーミエのボンヌ・マールの1945, 1949, 1955, 1962である。なぜそんなワインが必要なのか、今の当主のクリストフ・ルーミエでないし。

お店では1990のロマネ・コンティのボトルが出てくる。

フロリダのパームビーチに住んでいるBill Kochは、すごいセラーを持っている。そこには、43000ボトルが保管されている。それもすごい高価なワインだけである。

その中でも彼が持っているすごい贋作のワインが
Thomas Jefferson wine  トーマス・ジェファーソン(1743-1826年)が所有していたと思われる、
1784 Lafit Rothschilds
1787 Lafit Rothschilds
1787 Mouton Rothschilds
1737 Thomas Jefferson wine Rothschillds didn't own Lafite in 1737
1921 Chateaux Petrus magnums Fake in 1921 Petrus made no magnums
これらは全て贋作である。それぞれに彼は10万ドルくらい払っている。

ローラン・ポンソはは、2008年4月のニューヨークのAcker Merrall & Condit 社が開催しているオークションのカタログから偽造品の自分のドメーヌのワインを見つける。その評価は、John Kapon つまりオークションを主催している人が点数をつけている。
1929 Clos de la Roche が出ていたが、ポンソが作り出したは1934年から、
Clos Saint-Denis 45,49, 66,71 も贋作、ポンソが所有し作り出しのは、1982年から。他にも使っていないワックスだったり、売ったことのないネゴシアンのNicolasのエチケットが貼ってあったりととんでもないものだった。