ソフィーの選択 Sophie's Choice 1982

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51QduUW-FJL.jpgソフィーの選択 Sophie's Choice 1982

監督: アラン・J・パクラ
出演: メリル・ストリープ, ケヴィン・クライン, ピーター・マクニコル, リタ・カリン, スティーヴン・D・ニューマン

アカデミー賞主演女優賞 メリル・ストリープ,

これは、封切りの頃に見た映画の一つで、今でも印象に残っていた作品。
ソフィーの嘘とソフィーの真実。ソフィーの選択とは、何だったのか。
彼女にそれを迫ったナチの残酷さと、その罪を背負った彼女の罪はどこで癒されるのだろうか。なんかそんな話だったような、そして三人の青春みたいな感じだった。

ちょうどスティンゴくらいの年齢だった僕には、最後の結末がどうしてもわからなかった。その後数回見たような気もするが、改めて見たのは今回が初めてかもしれない。最後の結末は、なるほとそうなんだと思わせる。そうなんだ、そしてこの二人の死の結末は、スティンゴが原因かもしれないと思えてくるのである。
スティンゴの立場で見ると、どうして死んだんだろうと思うのだが、
ソフィーが、戦争とアウシュビッツで負った深い心の傷は、自分が壊れそうで壊れないところを、ネイサンが救っていた。本当はネイサンも妄想型の統合失調症であった。それはソフィーは気がついてなかったが、そのネイサンの妄想のような日現実的な生活とソフィーへの愛が、ソフィーを支えていたのだろう。かれらの不安定で、綱渡りみたいな生活があった。そこに、スティンゴが二人の中に入り、次第にバランスが崩れていった。スティンゴにとっては、最初に愛した薄幸の美しいソフィーだったのだが、ネイサンがいてなかんかその気持ちを伝えられなかった。ソフィーとネイサンの秘密を知ったスティンゴは、二人の中にあった秘密の壁も破ってしまったのである。ソフィーが誰にも打ち明けなかった、ソフィーがした選択は、彼女の罪の深さを再度実感させ、スティンゴと一夜をともにしたことで、ネイサンに対する強い罪の意識も生み出した。最後の結末は当然のと言っていいのだろう。二人が出会ったきっかけになった、エミリー・ディッキンソンのAmple make this Bedの詩のように、二人で抱き合って、青酸カリを飲んで静かに二人は死んでいたのである。しかし、スティンゴが、ソフィーとネイサンが煉獄のような苦しみの中で暮らしていたのを、ソフィーに懺悔をさせ、二人を天国に行かせと解釈もできないではない。

最初のネイサンの登場もびっくりしたが、彼の急に爆発する感情が最後のストーリーの流れにつながってくるのがいい。

この映画をみるとメリル・ストリープの女優魂を実感出来る。彼女のアウシュヴィッツ、そしてアメリカについてネイサンに出会うときのあの痩せ方は尋常ではない。これはメイクでなくて、実際に痩せていたのだろう。そして彼女の演技が本当に素晴らしい。迫真の演技である。この映画を見た時は、メリル・ストリープという女優は知らなかったのだが、確かに美しい女優だなー思った記憶がある。

スティンゴがピンクハウスに入るシーンからベートベンの田園が鳴る。これは上の階でネイサンとソフィーが聞いていたんだろう。その後もバッハ、メンデルスゾーン、シューマン、ヘンデルと有名な曲がバックでかかる。そして戦後の、なんとなく世界恐慌前のようなファッションと遊び方も映画の中の華である。

1927シャトー マルゴーを飲みながら、人は善良に生きて、死んだら天国ではこんなワインが飲めるんだろうと話す。ほかにもシャンパーニュを開けるシーンがある。ブルックリンの端の上で、シャンパーニュ開けて乾杯し、そのグラスを川に投げるシーンは本当に印象深い。ビールはバトワイザーだったか。

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