dreaming on clouds

かげろう侍 1961

監督: 池広一夫
出演: 市川雷蔵, 中村玉緒, 浦路洋子, 近藤美恵子

女たらしで、酒飲みで、博打が好きな部屋住の無役の身分の喜多弥十郎が本当は頭が切れて腕もたつ。それに両替屋泉州屋の娘でお珠がいいなづけである。
彼らが巻き込まれた事件は、虎鮫の寅吉が奪った種類を取り戻す仕事が与えらえた。

確かにミステリーが多いのだが、手刀流剣法で最初に武芸者が倒された理由、二人のドンツクが殺された理由がはっきりしない。彼らが何者かが、どちら側なのかわからないのである。子連れの浪人百崎も同じ沼津藩の家中だったのに全く事件と絡んでいないのも不思議。
グランドホテル形式と宣伝しているが、それほど宿屋に居合わせた人々の話が独立しているわけではないので、グランドホテル形式と言えるか？？
お光と虎鮫の寅吉が手刀で狙われた（実際は二人の格好をした同心たち）のもやや不思議。まだ大事な種類がどこにあるかわからないのに。
それにしてもハラハラドキドキさせる展開だからといって弥十郎が捕まって、殺されないのも不思議。

こうした細かいことは置いておいて、非常に楽しめた映画である。
中村玉緒が演じたお珠もおきゃんで可愛いし、 浦路洋子のお光も影があって綺麗だし。なんと言っても市川雷蔵がツヤがあってカッコイイ。

最後の、弥十郎が崖から落ちそうになるお珠を救い抱き上げると、江戸のシーンに変わっている。これはヒッチコックの北北西に進路を取れのオマージュである。
当然推理、サスペンスを入れた時代劇だからヒッチコックの手法を入れたのもよく分かる。この映画が1961年、北北西に進路を取れがが1959年だから、当時日本でも北北西に進路はとれはよく流行ったのだろう。

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