柳生連也斎 秘伝月影抄1956
監督: 田坂勝彦
原作: 五味康祐
出演: 市川雷蔵, 勝新太郎, 林成年, 夏目俊二, 黒川弥太郎
二人の武蔵と同じ五味康祐が原作であ流。五味康祐は、この時代の剣士達を描くのが得意だったのだろう。尾張柳生の剣豪であり、江戸柳生よりも強いと言われた柳生厳包、(連夜斎)の若い頃を描いている。
彼が、宮本武蔵と同じように生涯妻を娶らなかった理由が、この話の中に描かれている。五味康祐流の解釈だ。好かれた女からは、いつからか兵助を恨むようになる。婚約者は必死に決闘を止めようとする。最後に決闘が終わって兵助が去っていくのだが、さんが呼んでも振り向かず去って行ってしまう。面白い終わり方である。
鈴木綱四郎役の勝新太郎は、いつも適役に回るがやっぱり花がある。だからこそ全体がまとまる。市川雷蔵だけではつまらない話になってしまうのだろう。兵介の婚約者のさん役の立花宮子はうりざね顔で可愛い。
尾張藩には宮本武蔵の二天一流の円明流が残っているのでこうした対決があったかもしれない。円明流が藩の主要な剣術流派の一つにもなったほどである。
宮本武蔵が伝えた鈴木綱四郎の見切りの剣と、兵助の新陰流の影を切る剣の戦いは面白い。もう少し新陰流の極意がわかると面白いのだが。
これも五味康祐の原作は白土三平のカムイ外伝にでてくるのだが、確か新陰流の奥義について云々とあった。僕も子供の頃に興味深く読んだのだが、二人の武蔵、柳生連也斎がもともと題材にあったのだということをやっと映画を見て実感した。
柳生連夜斎
柳生厳包 やぎゅうとしかね 通称は七郎兵衛、兵助、兵庫。
新陰流第五世。柳生利厳(兵庫助)の三男
柳生拵、柳生鍔を考案。愛刀は肥後守秦光代の作、柳生の鬼包丁
生涯妻をめとらず。
五味康祐
剣豪を扱った歴史・時代小説が有名で、特に柳生十兵衛など柳生一族は当時大人気になった。喪神で第28回芥川賞を受賞。市川雷蔵主演で映画された薄桜記も彼の作品。
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