大江山酒天童子 1960

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大江山酒天童子 1960

監督: 田中徳三
出演: 長谷川一夫, 市川雷蔵, 勝新太郎, 本郷功次郎

平安の末期の話である。大江山に住む酒呑童子と茨木童子の話に土蜘蛛などを加えてオリジナルなストーリーで作られている。大映映画としては初めて特撮映画である。特に鬼童丸が変化する巨牛と土蜘蛛は創成期の特撮として興味深い。そして酒天童子の首が飛んで源頼光の兜に噛み付くシーンも印象深い。

主人公は、源頼光役の市川雷蔵というより、橘致忠/大江山酒天童子を演じている長谷川一夫と渡辺綱を演じている勝新太郎だ。女優陣では、渚の前の山本富士子とこつま役の中村玉緒だろう。

それにしても酒呑童子の話は興味深くて、源頼光と頼光四天王(渡辺綱、坂田公時、碓井貞光、卜部季武)の活躍も面白い。安倍晴明が出てくるし、茨木童子は、渡辺綱が腕を切った逸話のある鬼であるのは知らなかった。

渡辺綱を演じた勝新太郎の見せ場は多い。茨木童子の鬼との対決、そして最後の延年の舞。特に延年の舞はうまい。ただ、あれは謡曲『安宅』で弁慶が踊った延年の舞と同じだろうか?

今回は酒呑童子はそれほど悪役には徹していない。そして酒天童子が死なないで逃げ落ちるのは、やっぱり長谷川一夫のファンのせいだろうか。
大江山は、福知山市大江町だということ。

特に鬼童丸が変化する巨牛と土蜘蛛の特撮がある。これは後に日本映画の特撮の大っぽだったのかもしれない。

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延々えんねん
延年は、日本の寺院の大法会の後に僧侶や稚児によって演じられた芸能。延年で行われた舞を延年の舞と呼ぶ。謡曲安宅(あたか)では、登場人物の弁慶が踊る男舞として、延年の舞が舞われることがある。この『安宅』を原作とした歌舞伎十八番の『勧進帳』では、弁慶役が延年の舞を舞う場面が見せ場の一つとなっている。

聖宝の祈りの緑の弓矢
聖宝は、平安時代前期の真言宗の僧。醍醐寺の開祖で、真言宗小野流の祖。また、後に当山派修験道の祖とされる。南都諸宗と真言密教の綜合をした。
そのため、茨木童子を倒したのはありがたき、聖宝の祈りが込められていたからということだろう。