Red Obsession 世界一美しいボルドーの秘密 2013

  • 投稿日:
  • 更新日:
  • by
  • カテゴリ:

Red Obsession 世界一美しいボルドーの秘密 2013

監督: デヴィッド・ローチ, ワーウィック・ロス
出演: ラッセル・クロウ, フランシス・F・コッポラ, ロバート・パーカー, クリスチャン・ムエックス, ポール・ポンタリエ

この映画は、ボルドーワインの映画では確かにない。ワインビジネス、特に中国のワインブームによるボルドーのビジネスの変化である。それも、ワインを愛する人の立場で描いているわけではなく、ボルドーワインが高くなって、今までの愛好家に手に入らなくなっても良い。今はワインは投資、投機の対象であると、なんの感情もなく描かれている。

前半には、ヨーロッパやアメリカのワイン批評家のインタビューがあったり、ボルドーの美しいシャトーの映像が出てくる。特にマルゴーと、ラトゥールが。
作り手とは、ナパでワインを作っているフランシス・F・コッポラ、ペトリュスのクリスチャン・ムエックス、マルゴーの ポンタリエ親子、そしてイギリスのジャンシス・ロビンソン、アメリカのロバート・パーカー、そして香港のマスターオブワイン、韓国生まれ、ジェニー・チョー・リーなどが出てくる。

後半ではうんざりというほど中国のワインジャーナリスト、収集家たちが出てきて、どんなワインでも欲しくなれば金に糸目はつけないと言っている。
本当に邦題の世界一美しいボルドーの秘密はどこにあるんだ。何もない。ボルドーワインはどうして世界一高価なワインになったかである。ワインの品質などまったく何も問題していない。ただのブランドで買いあさっている中国人を描いて、これが中国文化だと言っているだけだ。

ラフィットが一番好きなのはわかるが、ラトゥールもそうらしい。オー・ブリオン、マルゴー、ムートンは影を潜めている。特にオー・ブリオン、ムートンはほとんど出てこない。マルゴーは、頻回にこの映画に出てくるが、中国人はそれほど好きではなさそう。

ボルドーワインの値上がりは、いままでアメリカ市場が値段を決めていたが、いまは中国ということだ。ただブランドに弱い中国は、有名なワインしか買わない。もうワインが好きということではなく、投機、投資、そしてブランド収集でしかない。特に大人のおもちゃを作っている社長は個人で60ミリオンドラーのワインを所有している。そして偽のワインもたくさん作っていることが描かれている。

モンドヴィーノではアメリカ主導のワインの味わいの問題が主体でかなり皮肉もあったのだが、この映画にはどこにスタンスがあるのか全くわからない。中国人のワインを投資、投機そしてブランド買いの対象にしていることについて厳しく追及しているわけではない。唯単に中国マネーの凄さを描写しているだけである。まったく訴えるものがない。残念。
一つ得られたものは、中国人はリスクにたいして大胆であるということ。30年前には何も財産がなかったのだがから、元に戻るだけである。だから彼らはリスクを冒す。

2009年ももてはやされたが、2010年はもっと高い値段が付いている。確かに2011年は値段が下がったが、これはいつもあることである。今後良年のボルドーの値段がどう推移していくのかはわからない。この熱狂がどこまで続くはわからないのだが、しばらくは続きそうである。中国はボルドーからブルゴーニュに目を向け始めたのも確かであるが。
監督の一人、ワーウィック・ロスは、ワイナリーをオーストラリアに持っていて、香港生まれである。彼は、中国にワインを売りたいし、あまり批判的な立場を取れないのだろう。中国に次に売れるのはオーストラリアのワインだと思っているかも。

My Rating(評価): 12/20
アクセス数:17