Blackmail 恐喝「ゆすり」1929

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Blackmail 恐喝「ゆすり」1929

監督: アルフレッド・ヒッチコック
原作: チャールズ・ベネット
出演: アニー・オンドラ, セーラ・オールグッド

最初はサイレントで作られ始めた映画だが、トーキーに変更した。サイレントバージョンとトーキバージョンがある。

Scontland Yardのフランクは、彼女と警察のビルで待ち合わせをしていた。
彼女は30分も待ったとふくれている。出て行くときにはもう一人の警察官と笑いながら出てきた。

芸術家のクリューに惹かれたアリスは、フランクのデートを切り上げてクリューと会う。そして帰り道にクリューの家に誘われる。最初は躊躇していたアリスはついていくことになる。そして、クリューの作品の正面を指差しながら笑っているピエロの絵を見て褒める。アリスはクリューの部屋にあった絵のモデルの衣装に着替えて楽しんでいたが、クリューに犯されそうになり、思わず手にしたバターナイフでクリューを刺してしまう。そして逃げようとするアリスに、絵の中のピエロがあたかもアリスを笑っているように指を指している。翌日殺人事件がわかり、捜査したフランクはアリスの手袋を被害者の部屋で発見する。それを思わず隠してしまう。アリスの実家はたばこを売っていて、そこに怪しげな人間が現れる。そして昨晩の出来事をしっているとアリスに告げる。フランクも心配してアリスの家に行くがそこでアリスを脅迫している人物と出会う。

この映画の凄さの一つは実際の大英博物館を犯人のチェイシングシーンに使っていることである。特にエジプトをテーマとした一番人気のところを走り回っている。今では考えられないだろう。懐かしいミイラの展示館も出てくる。(今は改装されて少し配置が変わっているように思えるがその前まではずっと同じだったようだ。)

ヒッチコックの手法としてこの時代から、実際に刺した場面は見れないナイフを取る手を見せて殺したことを観客に分からせる。
これは冒頭の、犯人逮捕のシーンでも犯人がこっそりとピストルを取ろうとする手にフォーカスを当てる。

犯人が逃げるところは、ヒッチコックの映画ではよくあるのだが、逃げるところの最後は一番高いところが多い。これが映画の見せ場であることはこの時代の映画にも見て取れる。

印象的なのは、最後のシーンである。これは最初にフランクとアリスが警察をでるシーンと重なる。その時の笑いは、屈託のない笑いだったが、最後に罪を逃れて警察をできる時にまた笑うのだが、このピエロの絵が現れて、あたかもアリスを指して笑っているのである。そしてアリスは笑いをやめる。意味深である。

ヒッチコックは、二人が列車に乗っていると後ろの座席に座っている。二人の横に座っている子供にいたずらをされる。

初めてイギリスでのトーキーフィルムである。そして主演のアニー・オンドラは強いチェコなまりだったので、別の人で吹き替えもしている。

1929年と非常に古い時代のヒッチコックの作品であるが、この時代からヒッチコックの得意なサスペンスの演出、ストーリーの展開の仕方がもう完成されていることがわかる作品である。映画の終わり方もヒッチコックにはあまりにないブラックな感じで新鮮である。

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