Les Bas-Fonds どん底 1936

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Les Bas-Fonds どん底 1936

監督: ジャン・ルノワール
出演: ジャン・ギャバン, ルイ・ジューヴェ

最後の明るさがいい。どん底から立ち上がる力を感じられる。
時代は、第二次世界大戦に入ろうとするフランスである。暗い世相から、未来への明るさを求めていることがわかる。

ナスターシャはどうしてペペルのことが好きなんだろうか? ペペルは泥棒でしかも姉の不倫相手である。しかも姉ワシリーサの夫のコストゥイリョフを最後にを殺してしまうのだが。ストーリー的にはしかもなぜか出獄できて、ナスターシャと新しく出発できてしまう。このストーリーの展開はフランス的な楽天性と明るさからくるものだろう。
原作では、やっぱりペペルとワシリーサは牢獄に入れられ、ナターシャは病院から失踪してしまう。そして残されたもの達は貧困の中から抜け出せない。

ストーリー構図は、男爵は落ちぶれ、そして下宿人が小銭を巻き上げていた宿主は殺されてもいいという内容だから、フランス革命的なところがあるのかも。これはロシアのゴーリキの作品だから、ロシア革命の縮図と言っていいのかもしれない。

男爵がとことんギャンブルによって身を落として行くところが面白い。そして屋敷に入った泥棒をもてなす男爵、そして野原で寝転がるのが楽しいという言葉に驚く男爵。彼はお金とは縁がないのだろう。それと身分の高いものの愚かさが描かれている。
そして何か生きる力を失っている男爵とどん底から這い上がりたいという生命力にあふれた泥棒の対比が本題だろう。

アルコール中毒の役者は、最終的には首を吊って死ぬのだが、これは、ゴーリキーの自分の心の中の暗さを表しているのかもしれない。

黒澤映画のどん底の方が非常に拡張性が高いのが両者を比べるとわかる。どうしてもこの映画は、フランスの戦争前の時代の先見性の甘さが見受けられると言うのも少し言い過ぎだろうか。

黒澤のどん底 1957

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