The Name of the Rose 薔薇の名前 1986

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The Name of the Rose 薔薇の名前 1986

監督: ジャン=ジャック・アノー
製作者: ベルント・アイヒンガー
原作: ウンベルト・エーコ
出演: ショーン・コネリー, クリスチャン・スレイター, マイケル・ロンズデイル, ロン・パールマン, F・マリー・エイブラハム

1327年、教皇ヨハネス22世時代の北イタリアのカトリック修道院を舞台に起きる怪事件の謎をフランシスコ会修道士バスカヴィルのウィリアムとベネディクト会の見習修道士メルクのアドソが解き明かしていく。どこかシャーロック・ホームズとワトソンに似ている。なんといってもバスカヴィルは、シャーロック・ホームズに出てくるバスカヴィル家の犬を連想させる。

このストーリーは少し複雑。最後のところはわかりやすいんだが。
最初の設定が理解できなかった。実はウィリアムとアドソは清貧論争に関することでこの修道院にやって来たのだが、不思議な事件が起きていることを知ってウィリアムはその事件の謎を解き明かそうとする。

途中でフランシスコ会とベネディクト会(アヴィニョン教皇庁派)の論争があるのだが、これが本来ウイリアムが来た目的の清貧論争だったのだろう。フランシスコ会とアヴィニョン教皇庁のあいだの論争だろう。本当は教会は貧しく営まれるはずだが、アヴィニョン教皇庁は贅沢を楽しんでいる。

その修道院には奇妙な修道士たちがいて、サルヴァトーレは、ちょっと頭の悪い修道士で、他の異端宗派に属していた。他にも肥満で禿げた図書館司書のベレンガー。彼は夜な夜な自分の体を鞭で打っている。そして盲目の師ブルゴスのホルヘ。映画中で起きる事件は、犬神家の一族と同じような殺され方やトリックがある。桶の中に逆さまで死んでいる僧侶、風呂の中で溺れている僧侶など

アリストテレスの『詩学』の第二部は、喜劇について論じられた。これを聞いてピンと来る人がどれくらいいるのだろう。アリストテレスの詩学では、悲劇(劇詩)を抒情詩や叙事詩などより上位に位置づけているて、文学の最高形態に位置づけている。これを踏まえてでは、喜劇はということになるのだ。

最終的には図書館の謎なのであるが。この修道院の図書館には昔から、噴出したもしくは無くなってしまった異端の書が数多く蔵書されていたのだ。この秘密の本を目当てに多くの人が集まっていたのである。この蔵書を発見してウィリアムは狂喜して喜んだし、自分の命を賭して本を火災のなから持ち出したのである。

モーレーのベルナールの詩の朽ちても残るのは薔薇の名前が題名の由来であるが。実際に歴史に残るのは本当の美しさではなくて名前だけという意味なのだろうか。これを話すシーンは実際の映画には使われなかった。
映画では、名前は知らなくても彼女の思い出のみが残ったという話になる。映画の最後にアドソの言葉が入るのだが、生涯好きだったのはあの時出会った薔薇のように美しい農民の少女であり、その後もずっと思いがあり忘れられなかったのだが、名前も聞いていなかったという話である。
どちらが本当の薔薇の名前の意味だろうか?

アヴィニョン教皇庁は、アヴィニョンのドミニコ会修道院に設置された。ベルナール・ギーは実在の人物でドミニコ会に属する。1323年には異端審問から引退しているようだ。

舞台が中世の修道院、殺人事件が起きる。謎解きをするのは修道士の一人である。ゴシック映画といってもいいんだろう。舞台設定、そして出演者たちの個性など非常に完成度や娯楽性が高い映画である。

映画ではこの修道院は北イタリアのベネディクト派の修道院となっている。小説では、イタリアのベネト州バドヴァの修道院である。撮影は、教会内はドイツのライン川のほとりのエバーバッハで行われた。実際の教会は、ローマから10km離れた土地に映画ように建てられたものを使った。

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