Les enfants du Paradis 天井桟敷の人々1945

  • 投稿日:
  • 更新日:
  • by
  • カテゴリ:

Les enfants du Paradis 天井桟敷の人々1945

監督: マルセル・カルネ
脚本: ジャック・プレヴェール
出演: アルレッティ, ジャン=ルイ・バロー, ピエール・ブラッスール, ピエール・ルノワール, マリア・カザレス

第二次世界大戦中に作られた映画。多くのフランスのレジスタンスがこの映画の製作に関わっている。それでも長編大作である二部,犯罪大通りと白い男に分かれている。全体で188分である。

天井桟敷の人々と言うのは,劇場の一番上のバルコニーから見ている人々。貧しくても一番安い値段で,劇が本当に好きで楽しんでいる人々である。

舞台は1800年代のパリである。バチストのガランスへの恋情が中心でストーリーが展開する。
ガスパール・ドビュロー(バチスト)、フレデリック・ルメートル,ピエール・フランソワなども1800年代に実際にいた人物である。

(第1幕)犯罪大通り
パリにかつて存在した、オペラ劇場、軽演劇、悲喜劇、外国劇、ストリップ、古典伝統劇、見世物小屋、サーカス小屋などが密集した通りで,常に犯罪が起きていた通りのことである。

ガランスはどんな過去があったかわからない美女。バチストは,芸人一家の生まれで父から芸を厳しく教わったが,彼はパントマイムの世界に入る。二人は恋に落ちるのだが,バチストのぎこちない愛情表現は二人の恋を遂行できなかった。
ガランスはフレデリックと仲良くなるのだが,ガランスもフレデリックもお互いに愛してはいなかった。
バチストを好きなナタリーは,バチストの心境が変化したことを知り,非常に不安におちいる。
ガランスの昔からの友人のピエールは詩人を装っているが泥棒で殺人まで犯していた。彼とガランスの関係を疑われたため,ガランスは,彼女に熱を上げているモントレー伯爵に助けを求める。

(第2幕)『白い男』
6年後,ガランスは伯爵と暮らし,バチストはナタリーと結ばれ,男の子を授かる。バチストのパントマイムは成功し,フレデリックも別の舞台で名を上げ始めた。ガランスはパリに帰ってきて,密かにバチストの劇を毎日見ていた。フレデリックは,ガランスと偶然に出合いバチストにそれを告げる。バチストのガランスへの思いは再び燃え上がり,自分の演技を中断してガランスを追いかける。フレデリックのオセロの演劇で,バチストはガランスに出合い,二人は愛を語り合う。そしてバチストは君は正しかったね。愛はこんなに単純なんだと呟く。モントレー伯爵はピエールに殺され,ピエールは逮捕される。ガランスは翌日にはバチストを置いて去ってしまう。

フレデリックがバランスに囁く名セリフ"愛し合う者同士にはパリも狭い"はいい言葉なんだが。それよりもやっぱりバチストがガランスと結ばれる時に,ガランスの言った言葉,"愛は単純という"意味がやっと理解できたと言う。僕はなんと意味が深いんだろうと思ってしまう。彼がやっと経験を積んで、ガランスを愛せる歳になったのかとしみじみ思ってしまうのである。

全体に流れるのは,愛と人生の複雑さがテーマであり、そしてそれは最終的には本当は単純なんだと言っているようにも考えてしまう。この映画は、フランス流のエッセンス、哲学がいっぱいつまっている。古くて長い映画であるが一見の価値はある。

ジャン=ルイ・バローは、彼こそがまさにパントマイムの役者だと思ってしまう。どうしてだろう。やっぱりこの映画は昔見たんだろうか?

アルレッティは、1938年の『北ホテル』でマルセル・カルネ作品に初出演し、1945年に天井桟敷の人々でガランスを演じた時は、もう47歳になっている。歳を取っても美しい人は美しいということか。外人部隊にも出ている。

マリア・カザレスは、ナタリーを演じている。当時23歳である。彼女の特徴的な顔つきはアルレッティよりも貫禄がある。ここから大女優になっていく。オルフェウス、パルムの僧院に主演している。

My Rating(評価): 14/20
アクセス数:22