Le Salaire de la peur The Wages of Fear 恐怖の報酬 1953

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Le Salaire de la peur The Wages of Fear 恐怖の報酬 1953

監督: アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
出演: イヴ・モンタン, シャルル・ヴァネル, ペーター・ヴァン・アイク, ヴェラ・クルーゾー, フォルコ・ルリ

第6回カンヌ国際映画祭にてグランプリと男優賞を、第3回ベルリン国際映画祭で金熊賞
この映画はサスペンスの名作であるのは間違いない。今でも色褪せない、緊迫感が伝わって来る。映像からだけではない、何か得体のしれない雰囲気の中に緊迫感がある。人間関係の設定も影響しているんだろう。

あらすじ

南メキシコのさびれた街ラス・ピエドラスが舞台。近くには、アメリカ資本のSOC(Southern Oil Company)の運営会社があった。

コルシカ人で皮肉屋のプレイボーイのマリオ(イヴ・モンタン)をはじめとして職が無く、食い詰めた移民達が日々何もすることもなく酒場であそんでいた。酒場の娘のリンダ(ヴェラ・クルーゾー)は、マリオのことが気に入っている。ただ酒場の主人とも関係がありそうである。
パリで食いつめた一癖あるジョー(シャルル・ヴァネル)がやってきた。マリオとジョーはフランス人同士で意気投合して遊び始めた。

SOCの油田が火災になり、その火災を消すには、ニトログリセリンの爆発による爆風に鎮火するしかない状況になった。そしてその油田は、町から500km離れている。

SOC社は、危険なニトログリセリンを運ぶ運転手を探した。その報酬は一人2000ドルだった。
結局4人の運転手が選ばれ、マリオとジョー以外にビンバとルイージが選ばれた。ビンバは、無口なドイツ人で、彼の父はナチに殺された。ルイージは、マリオのルームメイトで、明るく働き者だが、最近塵肺のため死が迫っていることを知らされていた。

二人一組でトラックを運転して30分の間隔を空けて二組は出発。途中にいろいろな障害があり、しだいにマリオの相棒のジョーは怖じ気づき始めた。そして運転もできなくなり、マリオから"何もしないで2000ドルか"となじられると、ジョーは"この2000ドルは運転の報酬だけではない、恐怖に対する報酬でもあるのだ"と答える。

途中で先頭車両がビンバとルイージのトラックになったが、峠を下る途中で大きな爆発音がして、彼らのトラックは跡形もなく消えていた。

マリオが運転するトラックが現場につくと大きなくぼみに、近くのパイプが壊れ漏れた原油があふれて小さな池を作っていた。ジョーを降ろして、原油がたまった窪地に先に行かせ障害物がないかを確かめさせながらトラックを進めていった。ジョーはなかにあった木々をどかそうとしたが足が挟まれてしまった。それでも構わずマリオはトラックを進めてわたりきる。原油まみれになったジョーを助けると、ジョーはもう虫の息だった。
マリオがジョーをのせ油田にたどり着いた時にはジョーは死んでいた。

報酬4000ドルをもらったマリオは、帰り道をトラックを飛ばしながら帰る。マリオが帰ると聞いたリンダは喜んでみんなとダンスをするが、気を失ってしまう。そしてマリオは、運転を誤って谷底に落ちてしまう。


感想

最初はニトロを運ぶところにすぐにこないんだろうと思って見ていた。非常に長い映画である。しかし、ニトロを乗せトラックが発進するとともに映画の緊張感が急に高まるのである。途中の障害物を乗り切るところで彼らの緊張感が画面を通してひしひしと伝わってくる。これほど訴えかけてくる映画は久しぶりである。
後ろのトラックが突っ込んでくるようなトラックの駆け引きもはらはらするし、崖っぷちのトラックの切り返しのシーン、そしてニトログリセリンを使った岩の破壊などハラハラするシーンいっぱいある。
マリオとジョーの関係が次第に逆転するところの面白さがいい。この関係の逆転とサスペンスが本当にうまく効いている。
石油が漏れた泥の中にジョーがはまるところは本当に迫力がある。やっぱり白黒だとすごい迫力だ。
迫力のある石油コンビナートが燃えているシーンもすごい。
最後に青きドナウが聞こえてきてリンダが踊りそしてマリオのトラックも踊るように運転するところがいいし、そして最後の結末に持ってくるところも心憎い。本当にいい映画である。

My Rating(評価): 18/20
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