鍵のない夢を見る WOWOW連続ドラマW
原作: 辻村 深月
出演: 倉科カナ, 成海璃子, 木村多江, 高梨臨, 広末涼子
題名が謎めいている。鍵のない夢はどんな意味だろうか？
どの話も現実にありそうな話である。そしてどこにも答えはないのである。鍵とは、ストーリーを解き明かす扉の鍵だろうか。そのストーリーにも出口がないのである。でも現実見る夢はどうだろうか。やっぱりどこにも出口がなくて迷って迷って起きてしまうことがないだろうか。
何かそんな不思議な気持ちにさせる話ばかりである。
第1夜:芹葉大学の夢と殺人
倉科カナ, 林遣都,
大学で知り合った二人が、次第に破局を迎えて行く。どこにでもある話なのだが。未玖のデザイナーになる夢をあきらめ、高校の教師となるんだが、恋人の雄大は最初から現実不能、荒唐無稽な夢があり、それを捨てきれず、次第に現実と離れて行く。そして二人は別れるんだが。それなら普通の話なんだが、
倉科カナは、細めの美人である。どこかにちょっと陰があるような役が合っているのかもしれない。
このストーリーの最後にどうして彼女は自殺したのだろうか。やっぱり雄大が忘れられなかったということがだろう。しかしそこまで馬鹿な行動を起こす女性には描かれていないのだが。すこし話に無理があるんだけど。
第2夜:美弥谷団地の逃亡者
成海璃子, 大東駿介
このストーリーはなるほど。最初の二人の設定が不思議なので、観客は引き込まれるのだが。次第にフラッシュバックする過去と現在が繋がってくる。
美衣の出会い系サイトで知り合った男性たちがどんなにだめでもそれを繰り返して行く。彼女の内にある、常識はずれにいたった動機はどこにも描かれていない。それが現実なのかもしれない。
成海璃子が高校生を演じるにはもう無理がありそうな雰囲気なんだが。以前からやや大人びた雰囲気があるから。
最後の結末は、そうだななるほど。そうだよなと思える。
第3夜:石蕗南地区の放火
木村多江, 大倉孝二,
36歳のOLの笙子が、誘いを断れなくて一度デートした。相手は、大林、38歳、独身。ボランティアで消防団に入っている石蕗町役場の職員だった。彼女は、以後誘いを断り続けた。彼女は公有物件の保険事業を担当する災害共済地方支部に勤めていた。実家近くの消防団の詰所が不審火がでたため、調査に行くことになる。そこで大林にまた出会う。彼は、笙子にわざとらしくまた親しげに声をかけてきた。
木村多江の演技は安定感があるね。もう売れ残りの独身の雰囲気を良く出している。
確かに、３面記事に出てくるような事件である。彼は本当の動機を語るだろうか。
第4夜:仁志野町の泥棒
高梨臨, 木村真那月, 川島鈴遥, 佐津川愛美,
実際子供の頃にこんなようなことがあった気がするくらいありそうな話である。律子が隣町から転校してきた。ミチルと優美子は彼女と親しくなりよく遊ぶようになる。実は律子の母は、泥棒だった。噂を聞いたミチルは、それでも律子と仲良く遊んでいた。しかし偶然留守から帰ってきた自分の家の中に立っている律子の母を見てしまう。
ミチル、律子、優美子の三人の関係が絶妙である。特にミチルは優等生であるが、潔癖性でもありそうだ。
律子までがお店で万引きをしているのを見たミチルは、以後律子と距離を置くようになった。その後小学校の先生になったミチルは次第に彼女の事情を理解するようになってきた。
母を誘って伊勢参りに行くバスの中で、バスガイドをしている律子に出会う。二人の関係は？
んー。僕には、二人が挨拶をすることよりも、ミチルの心の変化をもう少し描いた方が面白いのだが。実際は二人の関係にポイントをおくのが女性の視点と言えるのかもしれない。
今回は子供時代を演じた３人の女の子たちの演技がよかった。それと律子の母を演じたのはだれだろう。あの雰囲気がいいね。
最終夜:君本(きみもと)家の誘拐
広末涼子、
何と言っても広末涼子の演技がいい。これは彼女くらいの演技がないと持たない話だ。
今まで自分の計画通りに人生が進んでいた良枝は、子供が出来ないことに非常に悩んでいた。しかし、それでも子供は出来て、計画通り郊外のショッピングモールの近くにマンションを買ってすむようになる。自分の計画通り進み、良枝は幸せの絶頂にあるようだったが、子供の夜泣きがひどく、ノイローゼになってしまう。
そしてショッピングモールで目を離した好きに子供とともにベビーカーが消えてしまう。慌て、動揺する良枝。
この話も人ごとではない。こんな思いになってひやりとした女性は少なくないのかもしれない。でもこれは始まりでしかないと思うのは僕だけだろうか。
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