The Lion in Winter 冬のライオン 1968

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The Lion in Winter 冬のライオン 1968

監督: アンソニー・ハサウェイ
出演: ピーター・オトゥール, キャサリン・ヘップバーン, アンソニー・ホプキンス, ティモシー・ダルトン

アカデミー主演女優賞、脚本賞、音楽賞

1966年初演のブロードウェイの演劇作品を映画化したもの。
1183年クリスマスのシノン城を舞台に、イングランド国王ヘンリー2世と王妃エレノア、その3人の息子リチャード、ジェフリー、ジョンとフランス王フィリップ2世を絡め、権力と人間関係を巡る愛憎を描く描いている。

これは、中世の戦闘シーンを扱った映画でなかったから、どんなストーリーか忘れていた。こうした内輪もめ的な映画は子供の頃に印象に残っていないのだ。しかしこの映画音楽は覚えていた。これはジョン・バリーの傑作と言ってもいいだろう。007/ジェームズ・ボンドで有名だが、映画音楽では4度アカデミー賞を受賞しているが、ジェームズ・ボンドではない。

今回見直してみると、演劇的には、相続争い、婚姻など、当時の王侯貴族の人間臭い側面を生き生きと描いており、素晴らしい演技で見るものを引きつける。なるほど良い映画だと思わせる。

キャサリン・ヘップバーンは、このときは60歳を超えていたがまだまだ美しかった。ピーター・オトゥールの演技も素晴らしく悩める年老いた王をうまく演じている。
リチャード役のアンソニー・ホプキンスが初々しい。まだ映画俳優としてはデビューしたての頃である。
そしてフィリップ2世役のティモシー・ダルトンも映画デビューの作品である。


ヘンリーがアリースに、自分の状況はリア王に似ているが私は国を分割しないと語る。シェークスピアのリア王は1600年はじめ頃に書かれたが、このモデルはブリタニアの伝説の王レイアのことで、ブリタニア列王伝がこの時代に書かれたので時代考証的にはあっている。

ワインファンとしては、舞台がまずロワールの中心であるシノン城であること。そしてエレノアが、所有していたアキテーヌがボルドーと南西地方でありその後のイギリス人のワイン好きに影響している史実であることが面白い。

アキテーヌ地域圏は、ジロンド、ドルドーニュ、ロット・エ・ガロンヌ、ランド、ピレネーである。

スパイス入りの暖めた赤ワインをアリースがヘンリーに飲ませるシーンがある。

歴史として
ヘンリー2世は、プランタジネット朝(あるいはアンジュー朝)初代のイングランド王国の王。アンジュー帝国を築いた。
プランタジネット朝第2代の王リチャード1世は、獅子心王と称されるくらい戦いの中で暮らした。
プランタジネット朝第3代イングランド王ジョンは、即位中にフランスにおけるイギリス領をほとんど喪失した。1215年6月15日にラニーミードにおいてマグナ・カルタ(大憲章)を認めたことでも有名。

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