De rouille et d'os Rust and Bone 君と歩く世界 2012

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De rouille et d'os Rust and Bone 君と歩く世界 2012

監督: ジャック・オディアール
出演: マリオン・コティヤール, マティアス・スーナーツ, アルマン・ヴェルデュール, セリーヌ・サレット, コリンヌ・マシエロ

原作は、カナダ人のクレイグ・デイヴィッドソンの短編小説Rust and Boneである。
さび色と骨という意味は、何をさすのだろうか。足を失ったときの血とむき出しになった骨だろうか。

5歳の少年サムのシングルファーザーで無職のアリ(マティアス・スーナーツ)は、子供を育てるために、南仏のアンティーブにいる姉を頼った。そこで、マリンランドのシャチ調教師ステファニー(マリオン・コティヤール)に出会う。彼女はショーを指揮している最中に事故に遭い、両脚を失う。彼女に対する同情や哀れみなどがないアリの自然な対応に、ステファニーは次第に心を開いて行く。ステファニーはアリとセックスをするようになる。しかしアリはいつもと変わらず、出会った他の女とセックスをする。

その後のストーリーは単なるロマンティックなものに陥っていないところが素晴らしい。二人の間の関係や、アリの人生にもいろんなことが起きる。すごくリアルでないような状況設定なのに、非常にリアルに二人の関係を感じてしまう。アリの、一途に格闘技が好きで本能の赴くままに生きている。今までのステファニーは、すごく虚栄心のかたまりのような世界で生きてきたが、足をなくして、心の叫びのようなものに従って生きるようになる。
その中には、セックスを楽しむことができることは、生きることにつながっているようにも思える。
ステファニーが観光客のいる海岸のビーチで切断された両足をあらわにしてビーチにいたり泳いだりするのが素晴らしい。
タンクにシャチがうつり、ステファニーが指示する方向に動くシャチにはびっくり。これはかなりリハーサルが必要だったなと思うんだが。実際のシーンでは、マリオン・コティヤールの後ろに多くの人がいたために驚いたシャチが大きく口を開けて泣いたため、彼女は非常にびっくりしたらしい。
ステファニーが足にタトゥを入れるのが、それもシンプルで右足には右、左足には左と。そこにうちに秘めた生きる力を感じる。
映画の終盤でサムが氷の張った池におちてアリが助けるシーンがまた素晴らしい。

アンティーブは、ニースからカンヌにむけて西に海岸線沿いを車で走っていくとある町。風光明媚な海岸線の町である。ニースやカンヌに比べれば比較的若い人が集まっている。
マティアス・スーナーツは朴訥で女とキックボクシング好きな男を演じているが、実際はすごくダンディである。
両足がなくなったステファニーを演じるマリオン・コティヤールがすごい。かなりリアルに両足がないように見える工夫がしてあるし、そこに不自然さがない。義足をつけた歩き方もなかなかなものである。でもやっぱり彼女の表情が本当にいい。

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