攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 1-26 2002

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攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 1-26 2002

原作: 士郎正宗
監督: 神山健治
脚本: 神山健治, 藤咲淳一, 櫻井圭記, 佐藤大, 菅正太郎, 寺戸信寿
アニメーション制作: Production I.G

このアニメを理解するには最低3つの用語を理解していないといけない。ただこれは作中に説明されているので徐々にわかって行くようにはなっているが。
電脳化
マイクロマシンを脳内に注入し、脳内の神経細胞とマイクロマシンを結合させ、神経伝達による信号と電気信号がやりとりすることで、マイクロマシン経由で脳と身体の動き以外にも外部世界のネットワークに直接接続する技術。
義体化
サイボーグ化と同じ。マイクロマシンを介して脳細胞と人工的な身体の各パーツと神経的ネットワークを持つこと。
電脳硬化症
脳をマイクロマシンを使って電脳化することで脳細胞が硬化していく病気。

それにしてもいつも感じるんだがこの世界観は素晴らしい。ストーリーの展開のためのご都合主義の設定ではない。また現代社会の官僚、警察などの問題を風刺しながら大人のアニメに仕上がっている。多脚戦車のタチコマはユニークなロボットであり、ここでは重要な道化的な役割を担っている。人工知能に対する発展的な考えも非常に面白い。草薙素子は確かに義体化したサイボーグだが、これが、フィギュア的な可愛さと露出度がコアなアニメファンには受けるんだろう。
このアニメで話題になっているサリンジャーのライ麦畑でつかまえては残念ながらまだ読めていない。そろそろ読まなくては。

今回のスタンド・アローン・コンプレックスの概念も面白い。ただネーミングはあまり良くないと思うけど。

スタンド・アローン・コンプレックスが意味する孤立した個人が結果的に全体的な集団行動をとるという概念は、昔から在る概念である。ここでは単に、笑い男事件だけを扱っているが、実際にはいじめ、レイシズム、ファシズムにも発展することである。こうした精神分析の代表がエーリッヒ・フロムの著書、自由からの逃走に書かれている。人間が自分の有機体としての成長と自己実現が阻まれると、一種の自己実現の危機に陥る。これにより社会が安易な権威(流行、世論、プロパガンダなど)への従属が起こり、ここで言うなら笑い男の格好良さに対しての従属が起きている。ただしいつも正義に向いていると限らないのである。自分だけでなく他者に対しても自由を否定する権威主義に向かうのである。

ここではスタンド・アローン・コンプレックスでは、架空の犯人像、模倣犯などが英雄のように扱われているが、逆に作用すれば、ヒットラーのような人物を生み出すことになるのである。

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