The Great Gatsby 華麗なるギャツビー 2013

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The Great Gatsby 華麗なるギャツビー 2013

監督: バズ・ラーマン
出演: レオナルド・ディカプリオ, トビー・マグワイア, キャリー・マリガン, ジョエル・エドガートン, アイラ・フィッシャー

前作の華麗なるギャツビーを見ていたのだが、細部を思い出せなかった。
この映画をみてそうかこんなストーリーだったのだかと思い出した。

葬式のような音楽で始まるタイトルと次の緑の灯りがギャッツビーの生涯を象徴しているようなでだしで始まる。その緑の灯りが何を表しているのかは後からわかる。

なぜニック・キャラウェイはアル中になったかは語られていないが、彼はあの頃の仲間を嫌っていた。当時は、世界恐慌の前でみんなが浮かれて禁酒法のもとで酒を飲んでいた。特にニューヨークに住む裕福な人々はあのバブルの恩恵を受けたものだった。そうした仲間のなかでギャツビーだけが本当に誠実だった。

1922の夏、ニューヨーク州のマンハッタンの通勤圏である横に長く突き出した半島のロングアイランドにあるウエストエッグの豪邸に住んでいて毎夜のように豪華のパーティーを開くギャツビー。作品の舞台のウエスト・エッグは、実際はグレート・ネックで作者のフィッツジェラルドが当時住んでいた。イースト・エッグはマンハセットあたりを指している。ギャツビー邸での豪華なパーティのシーンは、日本のバブル時代のディスコを思い出す。

ギャッビーのスマイルは、ガーシュインのRhapsody In Blueをバックに演出されている。甘くとろけるようなディカプリオの微笑みが好きだと言う人とそうでない人がいるだろう。やっぱりロバート・レッドフォードが好きという人もいるだろうな。

ニックは後からギャツビーの本当の姿が見えてくる。西部の貧困の中で生まれたギャツビーが切ないまでに東海岸の裕福な家庭に生まれたデイジーを恋して止まないことを。大富豪の娘であるデイジーと貧しく育った当時軍人のギャツビーは愛し合うようになるが、ギャツビーは戦場に行き、帰ってきても無一文の貧乏青年。デイジーはギャツビーをあきらめ、大金持ちのトム・ブキャナンと結婚してしまう。1920年代の繁栄するアメリカの中でギャツビーは成功を納め巨万の富みを得て、デイジーの愛を取り戻そうとする。

金髪のショートヘアーのデイジーは自分の娘のことはニックに語るが一人娘はほとんど映画に現れない。そして彼女が育てているようなそぶりもほとんどない。最終的にデイジーというのは、裕福な家庭に育ったお嬢様で、誰かに守られていないといけない。彼女の取った最後の行動は、裕福なアメリカ人の象徴でもある。そしてギャツビーは、デイジーを信じて死んで行くのである。これがアメリカの見果てぬ夢とその儚さをうまく描いているのである。

ストーリーの設定はそして1920年代の世界恐慌前のアメリカの景気が一番良かった時代である。そして貧富の差による恋人が中心に描かれている。この設定はディカプリオの映画タイタニックもその時代を描いている、1912年に実際に起きたタイタニック号沈没事故と貧しい青年と上流階級の娘の悲恋の話であるが。華麗なるギャツビーが文学的に格調高い理由は、上流階級の汚い所と貧しく育った若者が持った夢の結末の対比が素晴らしいからだろう。ちなみに世界恐慌は1929年10月24日に起きている。この作品の設定は1922年。

old sportとギャツビーが、ニックを呼ぶのは何度も映画の中で聞くんだが、
彼が助けたヨットに乗っていた紳士が彼をそう呼んだことからだろう。英英辞書には、オーストラリアで使われた親しい友人への言葉、イギリスならold chapかold boyということか。彼はオックスフォード大学出身を装っていたからだろう。しかしこれこそが、オックスフォードが出身が怪しいことを表しているのだ。
ギャツビーがニックに語る、僕の人生は、天の流れ星が上に向かって登るのをさして、こうなんだ。そしてずっとこれが続くんだと。これは純粋なまでにそして儚さを伴うくらいに希望に満ちたギャツビーの気持ちである。

映画のポスターにも描かれている大きな両目が描かれた検眼士.の宣伝のボードは、後から効いてくる。あの時誰が車を運転していたのかをあの宣伝ボードが見ているのである。あたかも神が見ているように。
音楽的にはかなり凝っているんだが、その時代にふさわしいかどうか疑問な曲もあるんだが。当時のジャズだけでなく、ジャズにヒップホップを加えた新しい感覚を映画に加えている。Jay-Z が担当している。映画の雰囲気に合っているようには思えない。僕はやっぱり当時のスタンダードのジャズをバックにして欲しかったのだが。ブライアン・フェリーがかなりこの映画の音楽づくり協力しているのは嬉しい。

ラナ・デル・レイのYoung and Beautiflulは名曲である。これは映画音楽の中でもかなり質が高く、これからも忘れられない曲になるだろう。

ニューヨークのザ・プラザホテルも出てくる。ギャツビーはデイジーに夫のトムに二人の中を打ち明けることを促す場面である。ザ・プラザホテルは、昔泊まったことがあるがまったくたいしたホテルではなかった。サービスも悪い。確かに一階のロビーでは、ハープもしくはバイオリンが弾かれていたレストランがあったけど。現在は経営母体が変わったらしいがあまり内容は変わっていないらしい。

トビー・マグワイアは、スパイダーマンを演じていたが、こういう役に今までは恵まれなかったが、しっとりした性格の役作りは彼にぴったりである。これからもっと活躍するとよい俳優である。

デイジー役のキャリー・マリガンがいい。可愛くて純粋に思えるからである。演技は自然にこなしている。僕は以前の映画ミア・ファローはくせがあり過ぎてあんな子に一生夢中になることはないだろうと思ってしまうんだが。キャリー・マリガンの様な清純そうな子に男は夢中になり、徹底的に裏切られるんだと思える。

映画に登場する重要な役割の黄色、ブルーの車は、デューセンバーグ(Duesenberg )というアメリカの車で1910年代から1930年代にあった高級車である。1921年にはル・マンで開かれたフランスグランプリで優勝している。映画の舞台である1922年には、モデルAが売り出された。

グレート・ギャツビーは、アメリカの作家F・スコット・フィッツジェラルドが執筆し1925年4月10日に出版された小説。マーガレット・ミッチェルが1926年、風と共に去りぬを書きはじめ1936年に完成した

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