春の雪 2005

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春の雪 2005

原作: 三島由紀夫
監督: 行定勲
出演: 妻夫木聡, 竹内結子, 高岡蒼佑, スウィニット・パンジャマワット, アヌチット・サパンポン

三島由紀夫の豊饒の海4部作の1巻目の映画化である。
松枝侯爵の令息、松枝清顕と綾倉家の一人娘、綾倉聡子の悲恋のストーリーである。少し長い映画だ。少し中だるみしてしまう。松枝清顕の綾倉聡子に対する気持ちが十分に映画の中で表現できていない。最後の場面も妻夫木聡のメイクはあまりいけていない。月修寺でも列車の中でも。

清顕が聡子より二つ年下で、姉弟のように育ったのだが、すなおに聡子のことを好きだということに気づくことができなかった。清顕の聡子への屈折した感情は次第に自分が求めていた女性であったことを悟るようになる。その時には二人は結ばれる運命にはなかったのである。

綾倉聡子は、自分から清顕への思いを遂げるのだが、子供をおろして出家してしまう。清顕は奈良の月修寺まで聡子を尋ねるのだが会わせてもらえない。月修寺での早春の雪は美しく儚い。清顕は小説では最後に肺炎をこじらせて死ぬのだがそこは描かれていない。

清顕は親友・本多繁邦に、又、会ふぜ。きつと会ふ。滝の下でと言い残すのだが、僕はこれは綾倉聡子への言葉と思ってしまった。だが、小説豊饒の海では、本多繁邦と転生して会うことだったようだ。豊饒の海の主題は転生である。

本多繁邦が豊饒の海での主人公であるが映画の中では彼の描写が薄い。しかしそれが三島由紀夫の狙いなのだろう。

聡子は結局愛を貫いたのだろうか?清顕の子供をおろし、仏門に入ることは自分のためでしかないようにも思えてしまう。結果的に清顕は死んで行くのだがそれは聡子にはどんな意味があるのだろうか。これは、豊饒の海の第四巻で答えがでるのだが。

竹内結子はこういう役柄は合わない。やっぱりきりっとした性格の女性を演じると奇麗だなと思うんだが。

何故か主題歌が宇多田ヒカル「Be My Last」であるのには驚いた。映画とほとんど関係がない。



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