醜聞 (スキャンダル) Scandal 1950

  • 投稿日:
  • 更新日:
  • by
  • カテゴリ:

醜聞 (スキャンダル) Scandal 1950

監督: 黒澤明
出演: 三船敏郎, 志村喬, 山口淑子, 桂木洋子, 千石規子

バイクが好きな若手画家の青江一郎(三船敏郎)が、山で知り合った声楽家の西條美也子(山口淑子)と一緒にいるところを雑誌社「アムール」のカメラマンに撮られ、嘘の熱愛記事を書かれる。そのスキャンダルを嫌った青江一郎が告訴をする。そこに弁護士の蛭田が自分が弁護をしたいと名乗り出る。
青江は蛭田をうさん臭い弁護士と思うが、蛭田の家を訪れて結核を患っている娘に出会い、蛭田に仕事を任せる。
ところが蛭田は、相手側の社長の誘惑負けて、不利な弁護をするようになる。

これは青江や、西條が主人公のように思えるが、実際は弁護士蛭田が主人公である。根も葉もない嘘の記事の告訴から始まる、ヒューマンな法律映画である。僕が好きなジョン・グリシャムが描く法律関連の小説にはないヒューマンなタッチで描かれている。

弁護士の蛭田の自分の弱さとの葛藤が描かれている。このヒューマンなタッチがいい。志村喬の名演技が光る。真っ正直な青江の態度と、実は青江に対して好意を持っている西條の微妙な二人の立ち位置が面白い。
そして青江がかわいがっている蛭田の娘正子や青江の絵のモデルであるすみえ(千石規子)が脇をしっかり占めている。そしてアムールの社長の堀(小沢栄太郎)もうまい味付けである。

法廷のでのシーンは双方の弁護士のやり取りも十分練られていて非常に面白い。

昔の日本のクリスマスが描かれているのが興味深い。結核で寝込んでいる蛭田の娘正子(桂木洋子)の見舞いにくる青江と西條。西條が唄うのだが、山口淑子だから本当にうまい。その後の青江と蛭田が飲み屋に行くのだが。そこで流れる蛍の光。蛍の光は、日本では卒業式であるあるが、 ヨーロッパ、アメリカでは、年末に唄われる歌である。ただクリスマスには唄われないが。

My Rating(評価): 14/20
アクセス数:27